琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

父親たちの星条旗 ☆☆☆☆

http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/

第2次世界大戦時の最も悲劇的な戦いと言われる“硫黄島の戦い”を、アメリカ側の視点から描いた戦争映画。監督は『ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッド。有名な“摺鉢山に星条旗を掲げる米軍兵士たちの写真”の逸話をもとに、激闘に身を置いた兵士たちの心情がつづられる。『クラッシュ』のライアン・フィリップら、若手スターが多数出演。第2次世界大戦の知られざる一面が垣間見られる。(シネマトゥデイ

http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/typh/id324328/pidview000/
↑の“摺鉢山に星条旗を掲げる米軍兵士たちの写真”、僕もこの写真を観たことがありますが、この写真をめぐって、こんなことがアメリカで起こっていたとは、全く知りませんでした。
この映画を観ていると、クリント・イーストウッド監督はまさにアメリカの「良心」なのだなあ、と感じずにはいられません。
スピルバーグ監督制作ということで、正直、戦闘シーンの描写は、観客にとってもすごく過酷なものです。あの『プライベート・ライアン』を彷彿とさせる映像。観ていてかなり気持ち悪くなったシーンがたくさんありましたし、途中で席を立ってしまった人もいました。観終わったあとは、かなり疲れ果ててしまいましたし、観るのには、ちょっと「覚悟」が必要な映画です。
プライベート・ライアン』は、後半になると「戦場の英雄的人物の描写」が中心になっていくのに比べて、この『父親たちの星条旗』は、どこまで行っても救いようがない作品です。泥沼化した戦場と、「戦争をするための金を稼ぐ」ために利用され、使い捨てられる「英雄」たち。結局、「英雄」なんていうのは、誰かの都合によってつくられているだけの存在。
結局、戦争で得をする人たちが戦争を美化しようとしていて、本当の「兵士たちの声」というのは、かき消されてしまうという現実。
今の日本の政治家たちやネット上での「日本も戦争ができる『普通の国』に!」というような論調に「そうだ!」と盲目的に頷く前に、ぜひ一度この映画を観てもらいたい、と僕は思います。本当にみんな「こんなところ」に行きたいの?
イーストウッド監督の年齢も考えると、彼がいまこの作品を撮って世に問うたことには、ものすごい「意味」があるような気がするのです。ある意味「遺言」に近いものなのではないか、と。
それにしても、スピルバーグは腸管がビローンと出ているような描写が、なんでこんなに好きなんだ……

クリント・イーストウッド監督からの「メッセージ」の一部。

 私が観て育った戦争映画の多くは、どちらかが正義で、どちらかが悪だと描いていました。しかし、人生も戦争も、そういうものではないのです。私の2本の映画も勝ち負けを描いたものではありません。戦争が人間に与える影響、ほんとうならもっと生きられたであろう人々に与えた影響を描いています。どちらの側であっても、戦争で命を落とした人々は敬意を受けるに余りある存在です。 だから、この2本の映画は彼らに対する私のトリビュートなのです。日米双方の側の物語を伝えるこれらの映画を通して、両国が共有する、あの深く心に刻まれた時代を新たな視点で見ることができれば幸いです。

ところで、予告編を観たかぎりでは、『硫黄島からの手紙』のほうは、いかにも「日本産の戦争映画」っぽい作りのように思えるのですが、ちょっと心配だなあ。

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