演技でいいから友達でいて―僕が学んだ舞台の達人 (幻冬舎文庫)
- 作者: 松尾スズキ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/10
- メディア: 文庫
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いまや飛ぶ鳥を落としまくっている松尾スズキさんと演劇界の著名人たちの対談集。
来年公開予定の映画版『東京タワー』(リリー・フランキー著)も松尾さんの脚本らしいのですが、松尾スズキの『東京タワー』って、いったいどんなものになるのでしょうか。
これを読んでいると、松尾さんというのは、観察力が鋭くて、聞き上手なのだな、ということがよくわかります。
ただ、僕の印象では、松尾さんの対談は、吉田日出子さんとかラサール石井さんみたいな、松尾さんにとっての「大先輩」相手のほうが面白いものが多かったんですよね。松尾さんと同世代の舞台関係者相手だと「松尾さんはスゴイですよね」「いえいえあなたこそ」みたいな話しになってしまいがちで、同世代人にとって松尾さんというのは「存在が大きすぎてなんとなく遠慮してしまう人」なのかもしれません。
河原雅彦さんとの対談で、興味深かったところ。
松尾:映像になった自分を見るのが恐いんですよ。一回性って言うと古い言葉で嫌なんだけど、そういうところでやってるから、繰り返されてる自分を見るのが恥ずかしくて。
河原:長年舞台やってるから、もう体質的にそうなっちゃってるのかもしれませんね。
松尾:だから、ドラマとか映画に出ている自分がどんな状態になってるのかわかんないんだよね。まあ、自分が臆病なだけなんだけど。俺芝居のアンケートも読めないから。
河原:ほんと? 僕は絶対見ますね。役者で出てるときも読むし。けっこう拾えるものもあるから、それによって変えたりもしますよ。こう映ってるのか、じゃあこう変えてみようって。たぶん僕がやってるものが、エンターテインメント気質なものだから、参考にしようって思うんでしょうけど。でも、気にする役者さんは読まないほうがいいかもしれない。結構ひどいこと書いてあったりするから。タレントさんが舞台に出るときとか、マネージャーさんが悪いアンケートをハネてから渡してますもん。
松尾:アンケートの意味ないよ、それ。
河原:悪いアンケートを読ませることがプラスにならないんでしょうね、きっと。
僕はこれを読んで、あの「アンケート」って、結構影響力があるんだなあ、と驚いてしまいました。でも、「読めない」のなら、なんでアンケートとってるんだろう?という気もするんですけどね。