琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

好きだ、 ☆☆

好きだ、 [DVD]

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goo映画の「作品紹介」

ユウとヨースケは高校に通う17歳。ヨースケは、いつも放課後になると川辺でギターを弾いている。まだまだ下手で、同じところばかり弾くギターのメロディを聞いていて、ユウも曲を覚えてしまった。ユウには姉がいる。半年前に大切な人を亡くした姉をユウも、そしてヨースケも心配していた。ある日、ヨースケがユウの姉を川辺に誘った。帰ってきた彼女は、ヨースケのあの曲を口ずさんでいた。そしてまたふたりが待ち合わせをした日、哀しい出来事が起きる。

同級生のヨースケに惹かれながら、素直に気持ちを伝えられない17歳の少女の心の内を、宮崎あおいが好演。『NANA』をはじめ、活躍著しい彼女が、瑞々しく見せる繊細な演技は、思春期にある不安定ながらも真っ直ぐな気持ちを思い起こさせる。ヨースケには『サマータイムマシン・ブルース』の瑛太が扮し、少年ならではの戸惑いを上手く表現している。17年後、34歳になったふたりを演じるのは西島秀俊永作博美。ふたりとも、17歳のユウとヨースケからの違和感を全く抱かせない。少年少女が惹かれ合いながらも、いま一歩の距離を近づけないもどかしさ、ユウの姉の存在、想いを伝えられなかった相手との再会。誰もが心の隅にあるだろう感情を、『tokyo.sora』の石川監督が、優しく掬い取った。

以前、お昼のラジオ番組でこの映画の話を聞いて以来、ぜひ一度観てみたいと思っていました。なかなか「好きだ、」と言えなかった高校の同級生の2人の17年ぶりの再会、なんて、どうなるのか興味ありましたしね。
「2005年ニュー・モントリオール国際映画祭 最優秀監督賞」を受賞したというこの作品、宮崎あおいさんの素晴らしい演技も評判になったそうです。

それで、観終わったときの僕の感想。
「ああ、この映画、僕にはダメだ……」
いや、たぶん作品としては、これも「アリ」だと思うし、この世の中にこういう作品が存在するということを全否定するつもりはありません。でも、この映画を観て僕が痛切に感じたのは、いつも「ワンパターンでつまらない」とバカにしていたハリウッド映画というのは、ある意味ものすごく「観客寄り」の映画なのだな、ということでした。
この『好きだ、』は、

現場では台本なし、キーワードだけが渡されるという独特の撮影方法で、俳優陣の自然な演技を導き出した。

らしいのですが、この「自然な演技」っていうのが、正直眠い!!
いや、実際の「会話」って、たしかにこんな感じなんだろうけど、ひとつひとつの場面がすごく間延びしているし、薄暗いし、登場人物はずっとボソボソ喋っていて何を言っているのかよくわからないし、少なくとも僕が「映画」というものに求めているものは、この映画には全くありませんでした。
宮崎あおいさんの「演技」は確かに印象的ではありますが、なんだか「こんなに自然な演技が上手い私、どう、見て!」っていうような押し付けがましさみたいなのが、僕にはすごく鼻についてしまったんですよね。むしろ、永作博美さんのほうが好き。
それで、肝心の「結末」なのですが、これがまた御都合主義というか、そんな偶然がこんなに頻回に起こるわけねえだろ!とツッコミたくなるようないいかげんさです。せめて最後だけでも、もうちょっとドラマチックに決めてくれればねえ……
いや、確かに「もどかしさ」は伝わってきて、これはもう映画の『エヴァンゲリオン』の、「シンジてめえ、ミサトさんにあそこまでやらせておいて恥ずかしくねえのかよ!ゴチャゴチャ言わずにさっさと初号機に乗りやがれバカヤロー」という感情を久々に思い出しました。ヨースケてめえ宮崎あおいちゃんにあそこまでやらせておいて、何でお前はそんな態度なんだよ、と。

ほんと、「自然な演技」とか「個性的な映画」について、いろいろと考えさせてくれる作品ではあります。でも、僕はこの作品、観る前は期待していただけに、かなり落胆が大きかったです。

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