芥川賞は、青山七恵さん『ひとり日和』
直木賞は「授賞作なし」
ああ、なんだかイングランディーレが逃げ切った春の天皇賞みたいだ……
とか書いても、一部の競馬フリーク以外の皆様には全然わからないと思うのですが、正直かなり意外な結果でした。
とはいえ、今回の候補作はひとつも読んだことがないので、作品そのものの評価はできないのですけど、佐川光晴さんはさすがにかわいそうだなあ、と思えてきました。「授賞するつもりがないなら、候補にするな」ってわけにもいかないんでしょうけど、佐川さん自身がこれだけ「候補」になっても、「今さら佐川光晴に芥川賞っていうのも、かえってお互いにバツが悪いな」というレベルの評価を受ける作家になっていないというのも悲劇的だ……
青山さんへの授賞に関しては、「とりあえずひとりは若い女の子入れとけ」みたいな指令が出ているのではないかと勘繰りたくもなるのです。少なくとも「メッタ斬り」コンビの『ひとり日和』への評価(http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/topic/literaryawards/070111_akutagawa2/)では、絶対に村上龍や山田詠美が推しそうにない作品なんだけどなあ。
あと、直木賞に関して言えば、結局のところ、次期受賞候補者たちの「顔見世」という感じの回だったのかもしれませんね。そして佐藤多佳子さんあたりが次回作で受賞して、「これで受賞するくらいなら、なんで『一瞬の風になれ』のときにあげなかったんだ!」とみんながあきれ返る。これぞ直木賞クオリティ! しかし、こう言っちゃなんだけど三浦しをんさんが「まほろ駅前多田便利軒」で獲れるんだったら、今回の作品群で「授賞作なし」っていうのも、ちょっと候補者がかわいそうかな、とは思います(僕は三浦しをんさん好きなんですけど、「まほろ駅」での受賞はいまだに納得できないんです。「「むかしのはなし」とか「私が語りはじめた彼は」なら、まだ受け入れられるのですが……)。