琥珀色の戯言

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あなたの話はなぜ「通じない」のか ☆☆☆☆☆

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

 「他人とのコミュニケーションが上手くいかない」という悩みを抱えているすべての人に、ぜひ一度は読んでみていただきたい本です。あるいは、「メールがうまく書けない」「コメントの返事がうまくできない」「ケンカを売られるようなコメントへの対応に困っている」というブログ・サイト管理人の皆様もぜひ。この本には「人との付き合い方がうまくいかない人のための処方箋」がわかりやすく、具体的に書かれているのですが、これを日常生活で実践するというのは、そんなに簡単な話ではないはずです。でも、この本を一度読むことによって、少しは意識の持ち方が変わるはずです。
僕自身はこの本を時々読み返しながら軌道修正していこうかな、と考えています。

 仮に、相手が、素直に読み直したとしよう。
 しかし、読めばわかることが読めていない、ということは、相手は、文章をよく読む習慣がないか、思い込みで文章を読んでしまうか、とにかく「読解力」に問題がある可能性が高い。読解力によって生じた問題を、相手にもう一度読ませること、つまり、相手の読解力に頼るカタチで解決しようとするのは、得策だろうか?
 読み直したとしても、また、別の部分を誤解し、別の部分につっかかってくるかもしれないのだ。
 百歩ゆずって、相手が読み返し、自分の不注意に気づいたとしよう。そこで相手の非が明らかになる。正しい指摘は、相手の自尊心を傷つける。あれだけ苦情をぶったあとなのだ。感情的な抵抗もあって、相手はやはり、会社に対して好印象は持たないだろう。
「ちゃんと読め」「ちゃんと聞け」では、なかなか問題が解決しないのは、こういう理由だ。

ちなみに、こういう状況に対してのひとつの解決法として、山田ズーニーさんは、

 (相手に自分の返信を「読んで」もらうためには)共感できることを(返信の)メールの冒頭に置いてみたらいいといっているのだ。共感できることは、本当にないか。
 もう一度、「この人が本当に言おうとしていることはどういうことか」をつかむ気持ちで、相手のメールをじっくり読んでみよう。そう。「相手にもう一度読め」ではなく、「自分の方がもう一度読む」のだ。想像力を働かせて相手の思考、想いに、いったん沿ってみよう。
 嫌だろうけど、わかるけれど、「相手の読解力に頼る」より、「自分の読解力に頼る」方が確実だ。

 本当は、ネットで延々と揚げ足取りあっている人たちに、ぜひ一度この本を読んでみてもらいたいんだけどなあ。

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