琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

7月24日通りのクリスマス ☆☆☆☆

7月24日通りのクリスマス [DVD]

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地味で平凡、彼氏なし。生まれ育った長崎で単調な毎日を送る市役所勤めの目立たない女の子・サユリ(中谷美紀)は、妄想の中でポルトガルリスボンに暮らし、出会う男性に"自分だけの王子様ランキング"をつけて退屈な日常をやり過ごしている。
クリスマスを1ヵ月後に控えたある日のこと、長年にわたり王子様ランキング1位を独走中の憧れの先輩・聡史(大沢たかお)と、OB会に向かう路面電車の中で偶然再会する。しかもなぜだかいいムード! クリスマスを前にして、舞い上がるサユリ。しかし、ふたりの仲が進展すればするほど、憧れの相手と不釣合いな自分の恋に自信が無くなっていく・・・
クリスマスまであと1ヶ月、妄想のリスボンと現実の長崎のはざまで揺れ動く、サユリのはじめてのクリスマスの行方は・・・

中谷美紀ファンの僕としては、正直言って、中谷さんが出ているという理由で、そして、それ以外の理由は何一つなくこの作品を観たのです。
最初の30分くらいを観ての率直な感想は、

(1)これって、主人公の女性の設定とか妄想癖が、モロに『役者魂』なんですけど……(脚本は同じ金子ありささん)
(2)中谷さんも、やっぱり、顔に年齢が反映されてきたな(失礼ながら)……

というものでした。ひたすらウザいだけの劇団ひとり、これにも出てるのかとしか言いようがない小日向文世とYOUなど、「これ、本当に2006年公開の映画?」という既視感満載だし。
 でも、結局最後まで観てしまったのは、このヒロインの「イジケ具合」に、僕がほどよくシンクロできたから、なんでしょうね。

いいじゃない間違っても!
だから何? 間違うのが何?

今までの自分を捨てて、そう叫ぶサユリの姿には、同じように「間違うことばかりおそれて、結局何もしようとしない自分」と長年つきあってきた僕は、ちょっとウルウルしてしまったのです。
まあ、中谷美紀ファンの僕としては、この映画は『電車男』と同じように、中谷さんにとっては「演じていてあまり面白くない作品」だったのではないかとも思いますが(やっぱり「非モテ」には見えないしね)、夜中にDVDで観る作品としては、たまにはこんな「順調すぎるラブロマンス」も悪くないな、という気はしました。
あと、この映画での上野樹里さんの「徹底して目立とうとしない脇役としての仕事っぷり」もなかなかのものです。重要な場面では、ちゃんと「見せ場」も作ってましたしね。

最後に、この映画を観て僕がいちばん印象的だった言葉を紹介しておきます(ネタバレになるので隠しますね)。

人生が終わることを恐れてはいけない。
人生が、いつまでもはじまらないことのほうが怖い。
(Don't be afraid your life will end; be afraid that it will never begin.)

                      グレース・ハンセン(アメリカの作家)

僕はこの作品を観終えて、
今日、24歳になって初めて人に告白した(はてな匿名ダイアリー)
↑のエントリーを思い出してしまいました。
結果的にはサユリは相手とうまくいって、このエントリーの人はうまくいかなかったけれど、どちらも「人生を自分の手ではじめようとした」ことは同じなのです。

これは、僕のように「失敗を恐れるあまり、自分では何もできないくせに、他人の失敗を嘲笑って優越感に浸るばかりの僕にとっては、本当に心にずしりと響く言葉でした。この映画って、すごくありきたりなんだけど、なんだかそういうことを考えさせてくれる作品なんですよ。

僕もまだまだ、人生をはじめていかなくっちゃ。

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