- 作者: 2ちゃんねる,泣ける2ちゃんねる管理人
- 出版社/メーカー: コアマガジン
- 発売日: 2004/02/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あの巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」に、書き込まれた「泣ける話」の集大成。胸に秘めて言葉に出せない気持ち、どうしても言えなかった一言、宝石のように輝く思い出たち…。1日に数百万人が訪れるという2ちゃんユーザーが投稿した珠玉の書き込みを、厳選して一冊にまとめている。
たぶん、この本に書かれている「泣ける話」の中には、誰かの「作り話」も混じっていると思うのです。でも、そんなことはわかっているつもりでも、そして、昨今の「泣ける本」「泣ける映画」の氾濫には呆れているつもりでも、この本で紹介されている書き込みのなかには、心を打たれてしまうものがたくさんあったのです。
それはきっと、この書き込みのほとんどが「匿名」で行われているということと無関係ではないと思います。
僕には、世間の「泣ける小説」「泣ける映画」「泣けるドラマ」の多くは、「これで他人を泣かせて、自分を有名にしたい」とか「書いている自分に見返りを期待」しているものばかりのように感じられるのです。
でも、ここにある「書き込み」の多くは、多くの「名無しさん」が、「自分のなかに抱えているのが重すぎて、誰かに聞いてほしいけれど自分の身近な人にはうまく話せなくて、『2ちゃんねる』に書き込まざるをえなかった話」なんですよね。だから、ここの語り手たちは自分を美化したり必要以上に露悪的になったりしていないし、「読者」に媚びたりもしていません。「泣ける話」というまとめかたそのものが僕は好きではないのだけれど、少なくともこれを書いている人たちの大部分は、誰かを「泣かせてやろう」という気持ちはないと思うんですよ。むしろ、書いている本人が、書きながら泣いているのが伝わってきます。
こういう本を読むと『2ちゃんねる』が、「匿名であること」には、大きな意味があるのだな、という気がするんですよね。「名無しさん」だからこそ書ける話もあるし、「名無しさん」が書いているからこそ、スッと心に入ってくる話っていうのもあるのではないかなあ。
この本を読んでいると、「ああ、僕が悩んでいたり、後悔していることって、けっこうみんなと同じなんだな……」と、少しだけホッとできるんですよね。