- 作者: 益田ミリ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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OL時代に貯めた200万円を携えいざ東京へ。イラストレーターになる夢に近づいたり離れたり、高級レストランに思いきって出かけ初めての味にドギマギしたり、ふと老後が不安になり相談窓口に駆け込んだり。そして父から毎年届く御中元に切なくなる。東京暮らしの悲喜交々を綴るエッセイ集。
僕にとっての益田ミリさんのイメージって、『ダ・ヴィンチ』に連載されている恋愛エッセイでのものしかなくて、正直、「ちょっと苦手なタイプの作家」だったんですよね。僕はもともと、「恋愛語り」をする人って嫌いなので。
このエッセイを手にとったのは、「薄くて気軽に読める文庫のエッセイが欲しい」と思っていたときに本屋で偶然見つけただけのこと、だったのです。
でも、読んでみると益田さんの真っ直ぐな感性に、けっこう共感させられるところも多かったのです。このエッセイは、そんなに恋愛恋愛してないし。そして、印象にのこったのは、ところどころに配されている川柳の数々でした。益田さんの川柳って、短いフレーズのなかに、こうして「生きている」ことのなにげない切なさみたいなのがすごく込められているものが多いような気がします。
エッセイ部分だけなら、僕のなかでは「貧乏で庶民的な江國香織みたい」で終わっていたかもしれません。
将来の夢はいつまで聞かれるの
「終わり」が近づいていることを認識しつつも、モラトリアムな人生を続けていく不安というのは、「贅沢な悩み」なのでしょうか?
そうそう、このエッセイ、読んでいるとなんだかすごく僕も川柳が作りたくなってきました。
でも、人が作っているのって簡単そうに思えるけど、自分でやってみると17文字で何かを伝えるっていうのは、とてもとても難しいです。
負けないで 勝つべき相手も ないままに
濱口の 獲ったどだけが 夜の友
ドラえもん 地球に未来は 必要かい
お目汚しですみません。でも、川柳作るのって、難しいけど、けっこう楽しいですね。