琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

わらしべ偉人伝 ☆☆☆☆

出版社/著者からの内容紹介
こんなデタラメなインタビューがあっていいのか!?
『インド怪人紀行』『板谷バカ三代』などで人気のライター・ゲッツ板谷が、各界の「偉人」たちに仕事や人生の話を聞く。そして、その人が「偉い」「すごい」「面白い」と思っている人を順繰りに紹介してもらい、次回はその人に会いに行くという、“雑誌版テレフォン・ショッキング”。登場した偉人は、全52人。最終目標のマイケル・ジョーダンにはたどり着かなかったものの、意外な人が意外なつながりで登場するダイナミズムと、通常のインタビューではありえないゲッツ板谷ならではのツッコミは、まったく新しいインタビュー集として話題を呼ぶに違いありません。

 僕は、こういうインタビュー集ってけっこう好きなんですよね。「ネタ本」としても重宝しますし。
 この『わらしべ偉人伝』って、微妙に外した人選というか、普通のオシャレな雑誌にはまず登場しないような無名〜著名人の話が集められていて、かなり楽しめる回が多かったです。正直、最初の頃は知らない人ばかりでちょっと投げ出しそうにもなったんですけどね。
 でも、確かにこのゲッツさんのインタビューでは、有名人たちの「他のインタビューでは出さない(出せない)生身の人間としての素顔」みたいなのが伝わってくる回が多いのです。

ゲッツ板谷「で、チビッコ時代から他とは全然違うわけでしょ。5歳で大河ドラマに出て、6歳で歌舞伎の初舞台を踏んで、8歳で7代目染五郎を襲名したりして。ぶっちゃげた話、クラスメイトとの環境の違いをどう受け止めてたんスか?」


市川染五郎「今思うと、ムカつく子供で(笑)。体育の授業でも擦り傷作ってるのなんかバカバカしいって思ってたし、一生懸命走って疲れちゃダメだとか。で、懸命に走っている奴に対して(君たちは、ココで頑張れよ。僕は、もっと他で頑張るところがあるから)と(笑)」

 いや、僕はこれを読んで、市川染五郎さんのことがけっこう好きになってしまいましたよ本当に。僕も子供の頃、同じようなことを考えていたので(って、僕の場合は単に体育が苦手で嫌いだったから、というのもが)。

ゲッツ板谷「で、宇崎さんはダウン・タウン(・ブギウギ・バンド)がまだ絶頂期にあった'79年に『それまでのレパートリーは今後一切唄わない宣言』をしましたよね。どうしてそんな決断をしたんスか?」


宇崎竜童「要するに、年に100回くらいコンサートをやっててイライラしちゃうわけさ。昔の曲やるとウケる、今の曲やるとウケない…って感じだったから。でも、そう宣言してもファンは絶対ついてくるって思ったんだよね。そしたら、ついてこなかったんだよ。有名な話なんだけど、琵琶湖で『1万人コンサート』っていうのを開いたら25人しか来なかったの(笑)」

 後半には「作家つながり」で、日頃あまり生の声を聞くことがない人気作家たちがインタビューされたりもしていますし(個人的には、この後半部分の人選で、もうちょっとこの企画が続けばよかったのに、と残念なくらいです)、ゲッツさんの語り口調が苦手でなければ、かなり楽しめる本だと思います。

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