解説: 製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグ、監督にはマイケル・ベイという、ハリウッドを代表する大御所監督がタッグを組み、未知なる地球外生命体と人間との攻防を描いたSFアクショ ン超大作。あらゆるテクノロジー機器にトランスフォーム(変身)する能力を持つ“金属生命体”の暴走により、地球に人類存亡の危機が訪れる。世界最大のVFX工房ILMを中心に、『M:I:III』『スパイダーマン』シリー ズを手がけた世界屈指のクリエイターらが集結し、前人未到の映像世界を作り上げた。
2003年、火星にビークル2号探知機を打ち上げるが、火星に到着後NASAとの交信が途絶えてしまう。その後、アメリカ、パリ、東京、さらにはアメリカ大統領の乗るエアフォース・ワンの機内など、世界中の至るところで同時期に奇妙な現象が起きる。人間たちは、それが地球上のあらゆるテクノロジーをスキャンする知能を持つ“金属生命体”のしわざだとは知らず……。 (シネマトゥデイ)
もう、単純に「面白かった」です。
支離滅裂な世界観に基づいたSFアクション映画なのですが、マイケル・ベイ監督の「とにかく観客が楽しめる映画を」というサービス精神が伝わってくるようでした。
子供の頃に観た、特撮ヒーロー番組みたいというか、「この悪の秘密結社、バカだなあ」と呆れながらも「正義」の勝利になんとなくウキウキしながら家路についてしまうような「無邪気さ」があるんですよこの映画。いかにも「アメリカの正義」っぽい話であり、ベタなハリウッド映画なんですけど、僕は最近、「ベタなハリウッド映画のすごさ」をちょっと見直してもいるんですよね。世界の多くの人々が求めているのは、そういう「気分転換になる映画」なのだろうな、とも思いますし。
マイケル・ベイという監督は、製作総指揮のスピルバーグによると「とにかく1画面内の情報量が多い」そうなのですが、確かにこの映画を観ていたら、その「こだわり」が伝わってくるのです。
ビル街での戦闘シーンでも、トランスフォーマーたちの戦いで壊されるためだけのビルの中に人がたくさんいて、ちゃんと「演技」をしているのに僕はちょっと驚いてしまいました。しかもそれをちゃんと遠景でも映していて、その中でみんなが「演技」しているわけです。普通のハリウッド映画だったら、ビルの中のオフィスに巨大な敵が突っ込んできて中の人が驚愕するシーンだけにするはずなのに。芸が細かいというか、ムダにお金使ってるなあ、というか。
ストーリー的には、「で、これ誰が主人公なの?」とか、「メガトロンって、前置きのわりには弱いのでは……」とか、「何にでも変形できるのなら、車<<飛行機だろ……」とか言いたいところはたくさんありますし、ムダな登場人物がやたらと多いのも事実。
でも、この映画は、「いろんな車や飛行機がロボットに変形するところ」こそが最大の見所であって、僕はとりあえず「なんかカッコいいなあ、凄いなあ」と変形シーンを観ているだけでうれしかったので、この映画の良い観客だったということなのでしょう。
とりあえず「すごい映像」が観られたんだから、2時間半も1000円も惜しくないないかな、と。
しかし、あの変形シーンやアクションシーン、もうちょっとゆっくり見せてくれたらいいのにな、とは感じていたのですが、『スパイダーマン3』を手がけたスタッフによるものだったというのを知って、合点がいきました。そういえば、あの映画でも、同じように感じたんだよなあ。
でもほんと、こういう娯楽映画って、ある意味「貴重」なのではないかと思います。