琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

絶望に効くクスリ V0l.11 ☆☆☆☆

絶望に効くクスリ(ぜつぼうにきくくすり)は、週刊ヤングサンデーに連載されている山田玲司著のドキュメンタリー対談漫画。

内容は山田玲司が様々な現場でそれぞれの人生を歩んできた人々(芸能人、経済人、NGO、僧侶、主婦……本当に様々)を訪ね、その生き様に触れ、“絶望”が先立つ世の中に効く“クスリ”を探して回るストーリーになっている。
(「Wikipedia」の『絶望に効くクスリ』の項より)

僕はこの作品の存在をいままで全く知らなかったのですが、行きつけの書店でオススメされているのを発見して購入しました。もともと対談集大好きですしね。ただ、書店で見かけた時点での正直な感想は、「みんな対談集くらい、マンガじゃなくて活字で読めよ……情報量少なくなるだろ……」というものだったんですけど。
実際に読んでみると、このVol.11は、対談相手が
手塚眞 (ヴィジュアリスト
林達雄 (医師/アフリカ日本協議会代表)
ケラリーノ・サンドロヴィッチ (劇作家・演出家・ミュージシャン)
団鬼六 (作家)
古居みずえ (フォト・ジャーナリスト)
オリバー・ストーン (映画監督)
吉田恵美子 (海女)
三池崇史 (映画監督)
登川誠仁 (ミュージシャン)

と非常にバラエティ豊かですし、かなり興味深い言葉も多かったです。なかでも、団鬼六さんの回の「32歳のときに学校の英語教師になったんだけど、生徒たちに自習をさせながら教室で『花と蛇』を書いていた」なんてエピソードには思わず吹き出してしまいました。いや、作品もすごい(っていうほど読んだことないんですが)けど、この人の生き様は本当にすごいです。この本のなかでは、あと、オリバー・ストーン監督の回もオススメです。

(映画『ワールド・トレード・センター』について)
 今回、9.11で3千人のアメリカ人が亡くなって…20人の人が助かったわけです。
 私は亡くなった3千人のことを描いて恐怖と怒りをあおるより…生延びた20人のことを描くことで、「恐怖」や「憎悪」より「希望」を描きたかったわけです。
 今の時代は暗黒の時代かもしれないけれど…
 生き残った「普通の人」の中にわずかにでも希望のろうそくが灯っているなら…
 そのろうそくについて、自分は描きたかったんです…

これを読むと、オリバー・ストーン監督のすごさに感動するのと同時に、こんな人でもマリファナで捕まったりするんだよなあ……などと、いっそう絶望してみたりもするんですよね。「うまく生きる」っていうのは、本当に難しいものですね。
とりあえず、これを読んで僕もあらためて『プラトーン』観てみようかと思いました。

対談の相手によって、山田玲司さんの「力の入り方」がけっこう違うような気もするのですけど、確かに「やる気が出ないとき」には良い刺激になってしまう本です。まあ、これを描いている作者だって、こんなに「絶望に効くクスリ」を服用しているにもかかわらず、いまだに浮き沈みの繰り返しみたいなので、どんな「やる気の出る言葉」にも、人間はすぐに耐性ができてしまうものなのかもしれませんけど。

アクセスカウンター