琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

日本は世界で第何位? ☆☆☆☆


日本は世界で第何位? (新潮新書)

日本は世界で第何位? (新潮新書)

内容紹介(紀伊国屋書店BookWeb)
日本の格差は、本当に酷いのか。
政治家と役人は、どうしようもないほど腐敗しているのか?日々伝えられる窮屈な自己評価に、世界を歩いた元海外旅行添乗員が異を唱えた。
約七十の項目で、日本と海外を徹底比較。
セックス頻度から美人度、ビッグマックの値段、住宅寿命、危険な都市、食糧自給率まで比べると、日本の姿が鮮やかに見えてくる。
旅ならではの珍騒動も味わえる世界ランキングの旅。

日本は小さな国なのか?
所得格差は500倍!
消費税と出生率の不思議な関係
貧しさが生む肥満、豊かな国の食糧難
うさぎ小屋の真実
出国前に、成田空港は遠かった!
旅ゆけばそこは天国?はたまた地獄?
ここにも、あそこにも行ってみたい
恐るべき国々
入国前に調べておきたい
旅が運んでくれた恋
軍旗はためく下に
つながる世界
水が合わない……
あの青空を見るために
何のランキングでしょう? 《【1位】ギリシャ(138回/年)【2位】クロアチア(134回/年)【3位】セルビアモンテネグロ(128回/年)【4位】ブルガリア(127回/年)【41位(最下位)】日本(45回/年)》答えは本書23ページで。

書店で見かけて「タイトル買い」してしまった本なのですが、こうしてさまざまな「ランキングの中の日本」を見てみると、日本という国は「自分たちの国をバカにしている人たちが日頃言っているほど『情けない国』ではない」ということがよくわかります。でも、この本の「読みどころ」は、ランキングよりも、海外ツアーの添乗員経験が豊富で、約80か国を旅してきたという著者の体験談のほうなのかもしれません。「本当に素晴らしかった世界遺産ランキング」なんて、実際に行ったことがないとなかなか書けないでしょうしね。
そして、一番印象に残ったのは、次の2つの話でした。
まずは南アフリカヨハネスブルグの話。

(岡崎さんが選んだ世界の「危険な都市」ワースト1位のヨハネスブルグについて)
さて、このランキングでまっさきに取り上げたいのは、1位のヨハネスブルグだ。 
ぼくも訪れたことのあるこの街は、アパルトヘイト(人種差別・隔離政策)全盛だった時代を過ぎて、よくなったと思いきや、実は治安面では逆に悪くなっている。
いままで閉じ込められていた感のある、黒人の貧困層が町に溢れ出しているのだ。
当然、日中でも歩けない場所がある。集団強盗に遭ったって、レイプされたって、だれも助けてはくれない。見て見ぬふりだ。車がエンストしようものなら、その隙に襲われ、夜間、赤信号で信号待ちをしていても襲撃されかねないからと、赤信号を無視して突っ切るのが常識になっている。
強盗、殺人、かっぱらい、カージャックに、麻薬がらみ、シンジケートがらみ、武装強盗もあれば、首絞め、レイプとありとあらゆる犯罪の巣窟になっている。
ヨハネスブルグは、このランキングの中でも突出しており、安全を確保するには、とにかくドアからドアへの移動を迅速にすることである。車から建物へ、建物から車へと速やかに行動することが肝要だ。
ぼくがツアーで添乗したときにも、こんなことがあった。ヨハネスブルグではなく、まだ比較的安全と言われるプレトリアで、男性の客が、ちょっと煙草をなんて、ホテルから出て、すぐにバスには乗らず、一服しようとしたのだ。
すると、それを見たガイドも含めて関係者全員が、猛烈な勢いでこう注意した。
「死にたいんですか!」と。

なんだかもう『北斗の拳』の世界みたいなんですが、こんな都市にも観光客はやってくるし、それどころか、2010年にはサッカーのワールドカップが南アフリカ共和国で開催される予定なのです。著者も心配されていますが、本当にこんなところで開催できるのだろうか……
ただ、僕がアメリカで聞いた話では、アメリカ東部のボストン(松坂投手が在籍しているレッドソックスの本拠地)でも、ダウンタウンでは、東洋人が信号待ちをしていると車に石を投げられたりすることがあるらしいです。現地の人によると、ボストンがとくにアメリカ中で治安の悪い街だというわけではなくて、むしろ「比較的安全で住みやすい街」だそうなのですが。なんのかんの言っても、日本はまだまだ(ごく一部の地域を除いて)「安全な国」なのだと思います。

そして、もうひとつ、イスラエルという国についてのこんな話も。

そのイスラエル、入国時には注意が必要である。
親切な入国審査官ならば、こちらの意を受けて、なにも言わないでもやってくれるが、そうでない審査官だったら、なんの気なしに、パスポートに入国スタンプを押してしまうからである。
どうしてスタンプを押されるとまずいかと言うと、世界のイスラム教国の中には、イスラエルの入国スタンプがあると、入国を拒否される国も多いのである。
だから普通は、別紙にスタンプをもらい、出国のとき、この紙を返却する。こうしておけば、パスポートにイスラエルに行った証拠が残らない。証拠がなければ、敵対するイスラムの国だって、問題にする理由もなくなる。
まったくもって建前主義だが、そういうことになっている。

海外旅行の添乗員さんたちは、よく、「日本のパスポートというのは世界の人たちからすれば垂涎の的なのだ」という話をしてくれます。確かに、世界の国々の中で、日本のパスポートでは入国できない国って、北朝鮮くらいのものなんですよね。イスラエルに生まれた人は、それだけの理由で、多くのイスラム教国には入れませんし、イスラム教国に生まれた人はその逆です。
こういう話を読むと、日本の「弱腰外交」「八方美人外交」というのは、けっしてマイナス面だけではないのかな、と考えさせられます。

世界の広さ、そして自分たちの国である日本について知ることができる、なかなか興味深い本でした。
正直、「こんなに世界中を旅してきているような人でも、まだ世界遺産の4分の1しか観ていないのか……」と、自分に残されている時間を考えて、「日暮れて道遠し」という気分になる本でもあったのですけどね。

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