琥珀色の戯言

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阿川佐和子の会えばなるほど―この人に会いたい6 ☆☆☆


【内容情報】(「BOOK」データベースより)

連載700回を突破した「週刊文春」の対談ページ「阿川佐和子のこの人に会いたい」。過去2年間に掲載された97本の中から19本を選びぬいた、なんとも贅沢な1冊。自らマスコミに登場することのほとんどない中日・落合博満監督、当代随一の人気女性作家・川上弘美さんなど、豪華ゲストの内面にアガワが練達の話術で迫ります。

対談好きの僕にとっては欠かせないシリーズなのですけど、今回はちょっと対談相手が芸能人とスポーツ選手に偏っているというのと、目玉になるような「大物」が少ないな、という印象を受けました。野口みずきさんや荒川静香さんなどは、雑誌で対談されたときにはまさに「旬の人」だったのでしょうけど、芸能人とかスポーツ選手って、最近はいろんなところで「ぶっちゃけてる」ので、どちらかというと、阿川さんくらいのツッコミでは、「普通すぎる」ような気もしますしね。僕は阿川さんの対談相手としては、作家や実業界の人のほうが向いているんじゃないかなあ、と思うんですよ。そういう意味では、ちょっと物足りない巻ではありました。
それでも「読んで面白かったところ」はけっこうあるんですけどね。

川上弘美さんの回でのこんな話。

阿川佐和子:小説を書き始めたのは?

川上弘美:SF研の雑誌をつくり始めたとき。雰囲気的には今とほとんど変わらないものを書いていましたね。ただ、若い者は自意識が強いので、恥ずかしくて読み返したくないです。

阿川:それ、残してありますか。

川上:あるんです(笑)。私、捨てないんです。『噂の真相』に載った嫌な記事とかもちゃんととってある。嫌なことがあればあるほどそれを見届けたい、というか。これはきっと小説家に向く資質だと思うんですけど。

阿川:私、向いてないわ(笑)。

川上:昔、あまりよく知らない男の子からもらった、「きみを殺すにはこういう方法でやる」などという変質的な手紙もとってある(笑)。あお50枚にわたる愛憎入り混じった、でもおもに罵倒のラブレターとかね。怖い、どうしてそんなものが来るんだろう。

阿川:知りませんよ(笑)。ラブレターもとってあるの?

川上:ほんとに大切なものはとってありますけど、どちらかといえば嬉しいものより変なもの、怖いものをとっておきたがるのかもしれない。

阿川:やっぱり変な人だよ(笑)。

たしかに変というか、まさに「どうしてそんなものが来るんだろう」。
しかし、「嫌なことがあればあるほどそれを見届けたい」という性格っていうのは、まさに作家向きなのではないかと思います。作家だけじゃなくて、人気ブロガーにも、そういうキャラクターの人って多いような気がするんですよね。傍からみれば、「そんなの相手にしてもしょうがないんだから、もう放っておけばいいのに」と感じてしまうような。
そういう「多少嫌なことがあってもいちいち止めたり落ち込んだりしないような人」でなければ、続けていくことそのものが難しい世界なのかもしれませんが。

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