琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「ニュースサイトをやっていて、何が楽しいんですか?」


VIPブログ以外にも糾弾すべき対象はあるんじゃないの?(by はてな匿名ダイアリー(1/8))

俺がオンラインの空間に夢見た「誰もが情報を発信できる世界」ってのは結局オフラインで馴れ合うことをしなければほとんどの人が受信しない、酷くつまらない場所だったのかしら。

ニュースサイトに取り上げられないサイト/ブログは少ない人しか受信しないという現状がおかしいって何故気づかないんだろう。

取り上げられていないサイトを探すことは可能だ、って言うけど良記事を量産するところも紹介されなかったら人がほとんど来ない現状を分かってるのか?

酔拳の王だんげの方などのニュースサイトに取り上げられるまで、現状のニュースサイトを否定する文章を見るのが難しかったという現状をきちんと理解出来ているのか?


お前らの否定するマスコミとニュースサイト、何が違うんだ?

僕は昔、本当に「ニュースサイト」が嫌いでした。
まさに、ここに書いてあるような理由で。

しかしながら、今はニュースサイトにすごく感謝してはいるんですよね。自分がその恩恵を受けられる立場になった途端に、手のひらを返したように擦り寄るっていうのはみっともないとは思うのですが、取り上げてもらったおかげで、かなりたくさんの人に読んでもらえるようになったことは間違いないですから。

ところで、僕もずっと、「この世界には、『商売っ気』がないために埋もれてしまっている良質サイトがたくさんあるのだろうな」と想像していました。
でも、最近はあんまりそうは感じないんですよね。ブログという存在がメジャーになり、ブログ人口が増えることによって、確かに「未知の素晴らしいサイト/ブログ」が存在する可能性は高まったのではないかと思われるのですが、実際は、「隠れた才能」なんて、そんなに多くはないのかもしれません。
M−1グランプリ」で、漫才の「未知の才能が世に出られる」可能性が圧倒的に高まったはずなのに、実際に決勝に残ったコンビ(あるいはグループ)の大部分は、「(知名度には差があるにせよ)既成の勢力」に属する芸人たちでした。いや、「ちょっと面白いサイト/ブログ」っていうのはたくさん埋もれているのかもしれないけれど、「ものすごく面白い」というレベルのものは、ある程度の期間コンスタントに続けていれば、否が応にも「どこかで紹介される」のではないかと思うのですよ。それに、どの世界でも「全く自分でアピールしない人」が誰かに突然見出されて注目されるなんてことはまずありません。文学賞に応募したり、同人誌に発表するという「自発的なプロセス」がなければ、どんなに優れた小説家志望者も世に出ることがないように。
こう言ってはなんですが、「来訪者が少ない」と嘆いているブログの多くは、客観的にみると、「その内容なら、それが妥当なんじゃない?」という印象なんですよね。「買った本」「気に入ったアクセサリー」のアフィリエイトをずらずらと並べるだけ並べて、感想は「面白かった」「気に入った」だけ、というような。
僕が昔、弓道をやっていたときに、あまりに矢が的に当たらなくなった時期があり、先輩に相談したことがありました。僕の練習を見ていた先輩が、最後に一言。
「お前、矢はちゃんと『お前が狙っているところ』に飛んでるよ。お前の狙いが的の左側についてるから、『当たらない』んだよ」

いやほんと、今から考えれば、バカバカしい話ではあるんですが、こういうことって、けっして少なくないのではないかと。

ただ、僕はやはり、ニュースサイトの「好み」というのは、基本的に漫画、アニメ、ゲーム、トリビア系のネタに偏りがちだという印象は持っていて、日常雑記系の面白い話はなかなか大きく取り上げられる機会がないとも感じています。こういう「ある程度固定読者が期待できる話題が期待できる内容が重視される」という点では、ニュースサイトは、「マスコミ的」ではあるんですよね。

お前らの否定するマスコミとニュースサイト、何が違うんだ?

という問いに関しては、僕は、「ニュースサイトは基本的に『面白いものをポジティブに紹介する』のが主で、何かを批判したりするのを目的としていない」という点を除いては、「規模と影響力の違い」しかないと考えています。僕はマスコミ嫌いなんですが、その一方で、「マスコミ批判の材料も他のマスコミの記事でしかない」というのを目の当たりにすると、なんだか悲しくなってしまうこともあるんです。世界で起こっていることを全部自分の目で確かめることが不可能である以上、マスコミの存在そのものを全否定することはできないと思います。あとは、それをどうやって利用していくか、という問題で。もっとも、そんなことを言いながら、医療問題などで自分たちに火の粉が降りかかると、やはり、懸命に反論してしまうんですよね。たぶん、厚生労働省とか社会保険庁の人たちにも、それなりの「言い分」はあるのだと思います。しかしながら、今のマスコミの「力」で一度「炎上」させられてしまうと、もうどうにもならないのです。「反論」する機会すら与えてもらえません。
現状では、ニュースサイトは基本的に特定の誰かや何かを集団で叩くような方向には進んでいないし、自分たちの利益のために事実を歪曲したり、糊塗したりはしていないでしょう(アフィリエイトのために、つまらないものをつまらないと書けない、くらいのことはありそうですが)。ただ、今後ネットでの「ニュースサイトの影響力」が格段に大きくなっていけば、「圧力団体」みたいになっていく可能性はゼロではないんですけどね。

率直に書くと、僕は「ニュースサイトの管理人たちが、飲み会で馴れ合っているくらいの状況」って、ある種「ヌルい」というか、「まあ、そのくらいで満足しているんだったら、いちいち目くじら立てなくてもいいじゃん」としか思いません。彼らが結託すれば、「意図的に特定のサイトを炎上させる」ことができる可能性だって十分あるわけなのだから。そもそも、何の「見返り」もないのに、あんな骨が折れる作業をほぼ毎日続けるなんて、できるわけないと思うし、その「見返り」がその程度の「馴れ合い」なら、かわいいものじゃないかなあ。

僕は、ぜひ一度「人気ニュースサイトを管理している人」に聞いてみたいのです。
「ニュースサイトをやっていて、何が楽しいんですか?」と。

うちは零細サイトなのですが、それでも、「自分で書きたいことを書いているサイト」の面白さというのは実感できます。
ネットの面白さ(そして危うさ)というのは、自分が世界に投げた小石がどのような波紋を描くかをリアルタイムに見られる、ということに尽きるのですよ僕にとっては。もっと簡単に言うと、「良いもの、面白いものを書けばすぐに『答え』が出ることの快感」。
もちろん、そこそこ自信があり、期待していたものにも全く反応がなく、ガッカリしてしまうことはしょっちゅうですし、その逆に、「とりあえず何か書いておくか」というようなエントリが、予想外に「大ヒット」してしまうこともありますが、そういう意外性も含めて、「自分で思ったこと、感じたことを書く」ということは楽しいです。

でも、ニュースサイトって、「他の人が書いた面白いエントリ」を紹介するのがメインですよね。
ということは、「今日の更新はイケる!」なんて思ったり、ひとつの記事をきっかけに、ある日劇的に来る人が増えて驚いたりするような「世界のリアクションを感じる面白さ」って、ほとんど無いんじゃないかなあ。
もちろん、「みんなに面白いエントリを紹介して知ってもらう」というのは「気持ちいい」のかもしれませんが、それだけで、毎日たくさんのエントリを読み、時間をかけて更新し続けるモチベーションになりうるものなのか……
「馴れ合い」も「アクセス稼ぎ」も「アフィリエイト」も無かったら、「ニュースサイト」って、単なる苦行なのでは……

もしかしたら、今の「マスコミ」というのも、最初はもっと純粋に「みんなにいろんなことを知らせて、社会正義を実現したい!」という組織だったのかもしれません。しかしながら、そういうふうに善良な報道を行えば行うほど、「陰の存在」であることが淋しくなってきて、いつのまにか、「自分たちの伝え方で、世界を動かすことができるという快感」に溺れていったのではないかという気がするのです。
「ニュースサイト」は、今後、どうなっていくのかな……

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