琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

ハンバーガーの教訓―消費者の欲求を考える意味 ☆☆☆


[ 内容 ]地域別定価、24時間営業、新商品戦略など、斬新な戦略で急成長するマクドナルドの秘密。原田社長の企業戦略と人材育成術とは何か?

時代の先を読むのではなく、自ら時代の潮流を創り出す
▼地域ニーズを考えた店舗開発
▼売り上げ1000億円増の数字的背景
▼資産の有効活用と戦略の継続性
▼地域別価格導入の意味
▼危機にこそ基本に戻る
▼クルーの言葉にはヒントがある

 うーん、率直に言うと、この本、「功成り名を遂げたオッサンが、自分の成功体験について自慢げに説教している」部分が多いように僕には思えました。おそらく、「企業秘密」の部分が多いのであまり具体的な話は書けなかったのでしょうが、それにしても、もうちょっと実例をあげて「どのようにしてマクドナルドは奇跡の『V字回復』を成し遂げたのか?」を語ってほしかったような気がするんですよね。
 それに、『マクドナルド』ってそんなに素晴らしい企業なのかと問われると、小林よしのりさんが以前書いていたこういう話にもあるように、「消費者のニーズには敏感かもしれないけれど、消費者の身体のことを本気で心配してくれているとは思えない企業」ではあるのです。もちろん僕だってマクドナルドのハンバーガーを食べる機会は年に何度かありますし別に嫌いじゃないんですけど、ここまで美化されるようなものでもないだろ……と。
 まあ、今の世の中は、「高いものだから安全」とも限らないので、「どうせ危ないなら安いほうがいい」と開き直るべきなのかもしれませんが。

 ところどころに「印象に残る言葉」が出てはくるのです。

 私のような立場にいると「理想の経営者は誰か?」といった質問をされる場合も出てくるが、それについても私は名前を挙げて答えたりはしないようにしている。本当のことをいえば、「この人のここの部分は尊敬していて、この人のここの部分は尊敬している」というように何人かの経営者の名前を挙げられなくはない。だが、そうした経営者に対しても、その人のすべてを崇拝して真似しようというのではなく、それぞれの人の強みや弱みを知って、そこから何かを学ぼうとしているだけに過ぎないからである。

 最近の世論というのは「全否定」or「全肯定」になりがちな気がしていたので、僕はこういう原田さんの姿勢には学ぶべき点があるな、と思いました。

 ただ、原田さんの優れたところは、そうやって煙に巻くだけではなくて、

 理想のリーダー像を強いて挙げるとすれば、坂本龍馬ということになるかもしれない。それもやはり、坂本龍馬の志の高さや、世の中を変えるために日本という国を根本から変えようとしたグローバルな意識が素晴らしいと感じられるからであり、その生き様をなぞらえようとしているといった話になるわけではないのである。

 というような「わかりやすい答え」もちゃんと準備している、ということです。
 場面によっては、「具体的な名前を挙げないと、なんとなくおさまりがつかない場合」もありますからね。

 それにしても、マクドナルドっていうのは、本当に「大企業」なのだということをあらためて感じる本ではあります。

 私はあまり「数字」を提示するのは好きではないが、ドライブスルー・レーン又は店舗に入ってから商品を受け取るまでの時間を30秒短縮できれば、全体の売上は5%上げられると考えられている。5%といえば250億円なので、単純計算すれば。1秒の時間短縮で8億円となるわけだ。
 数字を出したついでに書いておくなら、マクドナルドはこの4年間で年間売上を約1000億円伸ばしている。どうしてこれが可能になったかといえば、単価を上げたからではなく、「顧客の獲得数×来店率」の客数を増やしたからである。
 現在の年間客数は約14億人なので、4年前にくらべて年間客数は約2億人増やすことができているわけだ。これがどういうことかといえば、全国3800店舗が毎日、1日の客数を36人ずつ増やしていった成果が結実したものだともいえるだろう。1時間でいえば。2人か3人のお客様を増やし続けていた計算になる。

 「1秒8億円」の世界では、こういうリーダーが必要なんでしょうね。
 でも、なんというか、僕にはちょっと「心に響かない」本でした。
 奥様が、あの谷村有美さんだということに嫉妬しているわけではないのですけど……

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