琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

ぼく、オタリーマン。3 ☆☆☆☆


ぼく、オタリーマン。3

ぼく、オタリーマン。3

内容紹介
シリーズ累計50万部のベストセラー第3巻!

今回は収録作品の9割が書き下ろし。変わらぬオタリーマンライフを描いたマンガの他、自衛隊1日入隊レポートやちょっと切ない高校時代の思い出等盛りだくさんの内容です。

 けっこう短期間で刊行されているような気がする『オタリーマン』(1年間で3冊だそうです)なので、そろそろパワーダウンしてきているのではないかと心配だったのですが、この「3」は「SEの裏話」や「会社の話」(これは、書きにくくなってしまったのかもしれません)がだいぶ少なくなった印象です。
 でも、その代わりに「オタクの社会での生きづらさ」みたいなものがしみじみと伝わってくるような巻になっていて、僕はむしろ前より面白く読めました。いや、『オタリーマン』に「自衛隊体験記」は要らないだろ、とかは、ちょっと感じたのですけど。

「お客様」(女性)との飲み会中に、「もやしもんストラップ」をうらやましがられたとき、それをよしたにさんが気前よく「お客様」にプレゼントしたあと、

 …………よし!! 少なくとも汚いとか臭いとか思われてない!!

 と軽くガッツポーズをする話なんて、あまりにも共感できて「ああ、自分だけじゃなかった!」って嬉しくなったしね。
 いや、僕が本当に酷かった時代は、「でも、あの女の子の喜んでいる態度はあくまでも社交辞令で、家に帰る途中でゴミ箱に投げ捨てて、家でせっけんつけまくって皮膚が擦り切れるくらい手洗いするのでは……」なんてダークな想像が続いていたんですけど。

 あと、高校時代に友達がいなかった、という話も染みた……「3年間毎日2時間ライトノベルを書いていた」という話は、正直、「創作っていうのは、とても素晴らしいことのように思われがちだけど、『限りなく時間のムダ』になる可能性もあるよなあ」と感じたんですよね。よしたにさんの場合は、こうして今の仕事に役に立っているのでしょうが、それで作家になれたわけでもない人にとっては、そういう時間とうのは「若気の至り」ってことで消化できるのかな……というようなことを考えてしまいました。

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