琥珀色の戯言

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何にでも「つまらない」と言っていた昔の僕へ


なんでいきなり↑の話を思い出したかというと、今日、↓のエントリを読んだからなんですよね。

何にでも「つまらない」という友人 - ロケット姉妹(仮)(2008/4/23)

僕も昔は「何にでも『つまらない』って言ってたなあ」と言っていた記憶があるのです。
でも、それは「本当につまらないと感じていたから」というよりは、「どういうのが『面白い』ときの感情だか自分でもよくわからなかった」のと、「何かに対して、『面白い』って言うだけの度胸がなかった」からでした。

僕は学生時代、何かに対して「面白い」とか「好き」とかいうようなポジティブな感情を人前で表明するのって、すごく怖かったんです。
「○○が好き」と表明した場合、周りから、「ええっ、お前、○○なんて好きなの?」あるいは「○○が面白いって思ってるの?」というリアクションが返ってくるのではないかって。
いや、これには逆のパターンもあって、僕は「××なんて嫌い」ともなかなか言えなかったんですけどね。僕が嫌悪感を表明した××のことを、目の前のこの人は大好きかもしれない」とか考えると。
まあ、要するに、何に対しても「まあいいんじゃない」みたいな感想しか表明することができなかった。
そういう意味では、↑のエントリの「何にでも『つまらない』って言える人」っていうのは、ある意味友達をすごく「信頼」しているんだなあ、なんてことも感じました。

一般的に、「好きなものを否定される」より、「嫌いなものを肯定される」ほうが、心のダメージは小さいし、トラブルにもなりにくいでしょう。そういう意味では、この友人は、「自分を守りたい」という思いと、「みんなの前で自分を表明したい」という思いのあいだで揺れているような気がします。
本当に「嫌い」なら、面白いとかつまらない以前に「知らない」「興味持てない」はずだから。

でも、「つまらない」ばっかり言っている人って、正直あんまり話していても「面白くない」よね。
その講評が「芸」の域にまで達していればいいのかもしれないけれど、そんな人はそうそういないし。

……つーかさー。

そりゃ世の中つまんないことだらけだよ。

そりゃハッキリ言って世の中、つまんないことが多いよ。

そんなのは俺だって理解しているってのよ。

でもだからこそ俺は、そんな「ありふれたつまらない」になんて興味はないんだよ。

そんな「ありふれたつまらない」なんて、今更聞きたかないんだよ。

だから俺は、もっと「面白い」が聞きたいんだよ。

そしてもっと「面白い」に迫りたいんだよ……。

少なくとも、「何にでも『つまらない』と言う」というのは、あんまり賢い生きかたじゃないような気がします。
「好き」で結びついた人たちの結びつきに比べて「アンチ」で結びついた人どうしの繋がりって、本当に脆いものだから。
mixi』の「アンチ△△」のコミュニティを見ていると、それがよくわかります。
「面白い」「好き」を表明することは、「自分の弱点を開けっぴろげにする」ことでもあるんだけど、誰かともっと向き合おうと思うのなら、そのリスクは避けては通れないんだよなあ。
「嫌い」を何千人に向かって言い続ければ、「お前趣味悪いなあ」って言われないけれど、友達もできない。
どんなに怖くても、「好き」って言わないと、伝わらないんだよね、結局は。
僕はこの友人にひとつ質問してみたい。
「じゃあ、お前が好きなのを教えてくれよ。絶対に俺たちはその作品をバカになんてしないから」って。
そのとき、彼が声を震わせながらでも、何かひとつでも作品を挙げてくれたらいいな、と思う。


ところで、僕はこのエントリを読んで、「おお、まだこんなふうに集まってTRPGをやっている人たちがいるんだなあ」と、ちょっと懐かしく、嬉しくなってしまったんですよね。
実際は、この「何にでも『つまらない』と言う友人」も、「TRPGが好き」という点においては、他のメンバーとしっかり結びついているようにも思えるのです。
いや、ゲームマスター的な観点からすれば、みんながみんな「正統派直情径行ファイタータイプ(『ロードス島戦記』のパーンみたいなキャラ(って言ってもみんなもう知らないか……)」だけじゃ面白くなくて、この友人みたいな「偏屈なマジシャン」みたいなキャラがいてくれたほうが面白いのですよね。ゲームを離れての個人的な付き合いとしてどうか、というのは別として。
誰もマスターやりたがらないTRPGは悲劇だけど、みんなが「マスター属性」で、シナリオに素直に乗ってくれる「プレイヤー志向」のキャラクターがいないTRPGっていうのも、けっこう辛いものだし。

だからまあ、こういう場合は、「アニメに関して語りたくはないけれど、まあ、TRPG友達としては貴重だよな」というくらいのスタンスでも良いのではないかと。いまどき、一緒にTRPGやってくれるっていうだけでも、けっこう稀有なのではないかと思われますし。


ネットでも「面白い!」とか「☆5つ!」ってやるのって、実はけっこう怖いです。
ああ、『HERO』なんてベタな映画に☆5個とかつけちゃって、松たか子について熱く語っているこのオッサン本当にバカだな、とか思われてるだろうしさ。
それでも、バカにされることを怖れていたら、結局、何も言えなくなっちゃうから。
むしろ、「俺のこのバカっぷりを見ろ!」というくらいの勢いで書いたほうが楽しいよ、きっと。

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