琥珀色の戯言

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ディープインパクトが顕彰馬に


ディープインパクトが顕彰馬に(日刊スポーツ)

02年生まれのディープインパクトは、05年の皐月(さつき)賞、日本ダービー菊花賞を無敗で制し、史上6頭目の三冠馬に輝いた。06年は天皇賞(春)宝塚記念に連勝。欧州最高峰レースに挑戦した凱旋(がいせん)門賞では、体内から禁止薬物が検出され3着から失格処分となった。復帰戦のジャパンカップに優勝し、引退レースの有馬記念も快勝した。07年から種牡馬。通算成績は14戦12勝(時事通信社)。

顕彰馬(Wikipedia)
↑で問題点が指摘されているように、「このシステムでは、もう二度と顕彰馬は出ないのでは……」などと言われていたのですが、さすがにディープインパクトは「一発合格」だったみたいです。
なんのかんの言っても、あれほど圧倒的かつ不条理な強さを見せてくれるサラブレッドには、もう会えないかもしれませんしね。落馬寸前のスタートから悠々と差しきった皐月賞、圧勝のダービー、かなり行きたがっていてもうこれは余力が無いのでは、と思ったのに余力十分に見えたアドマイヤジャパンを交わした菊花賞。「強い」だけではなくて、「ドラマティックな」サラブレッドでした。まあ、配当は全然ドラマチックじゃなかったのですけど。

ちなみに、2001年から、現在のシステム

10年以上競馬報道に携わっているマスコミ・新聞関係者による選考投票を行い(1名2頭までの連記式、「該当馬なし」として投じることも可能)、総投票者の4分の3以上の得票を得れば選出という方式である。毎年4月に選考が行われる。なお2007年現在の選定対象馬は3月31日を起算日とし競走馬登録抹消1年以上経過し、20年以内の馬である。現役馬や競走馬登録抹消1年未満の馬、競走馬登録抹消20年を経過した馬は対象外である。

になっているのですが、それ以降に顕彰馬に選ばれたのは、テイエムオペラオータケシバオーのみ。しかも、この両馬が選ばれた2004年は、

2004年にJRA50周年事業(JRAゴールデンジュビリーキャンペーン)の一環として、この年に限り投票できる頭数を4頭とし、2頭は1983年12月31日以前に登録抹消された馬、残り2頭は1984年1月1日以降に登録抹消された馬を投票することとした。この結果、タケシバオーテイエムオペラオーが選出された。2005年以降は、選定対象を競走馬登録抹消から20年以内の馬となった。

という特別な年でした。
結局、このシステムで普通に選ばれた馬は、今年のディープインパクトが初めて、ということになります。
この10年間、そんなに「名馬」は少なかったのだろうか、というようなことを考えているのですが、

(1)競走成績が特に優秀であると認められる馬(原則としてGI競走に格付けされた重賞競走において3勝以上の成績を収めたもの)。

(2)競走成績が優秀であって、種牡馬または繁殖牝馬として、その産駒の競走成績が特に優秀であると認められる馬(上記に準ずる成績を収めた馬であって、GI競走において優勝した産駒が種牡馬にあっては5頭以上、繁殖牝馬にあっては2頭以上のもの)。

(3)その他、中央競馬の発展に特に貢献があったと認められる馬(国際的に活躍し、中央競馬の評価を高めたもの、又は記録性、話題性、大衆性において中央競馬の発展に特に貢献のあったもの)。

上記のいずれかの条件を満たす馬というのは、確かに少ないですね……
いや、「G1を3勝」している馬はこの10年間にもけっこういたと思うのですが、「それだけじゃダメ」という「暗黙の諒解」がすでに出来上がっているようですし。
「なかなか次の馬が選ばれない」ことによって、かえって「この程度の馬を選んでもいいのか?」なんていうプレッシャーもかかってしまっているのではないかなあ。
最近20年間の傾向としては、「G1を4勝以上+ファンの記憶に残るレースがあること、あるいは海外実績」もしくは「G1(8大競争を主体とする)を5勝以上」くらいにまでハードルが跳ね上がっているようです。
エルコンドルパサーにしても、凱旋門賞2着、しかも惜しい2着というのは評価されるべきだと思いますが、「それならトゥザヴィクトリーも国内G1で2勝、ドバイワールドカップでも2着じゃないか!」と言えなくもないですよね。有馬記念ドバイデューティーフリーで勝ち、キングジョージで惜しい3着だったハーツクライはどうなんだ、とか、スペシャルウィークが顕彰馬なら、直接対決で有馬でも宝塚でも勝っていてG1も4勝のグラスワンダーは?とか。
個人的には、「血統の壁」を破ったミホノブルボンとか、牝馬ながらジャパンカップで2年連続2着のエアグルーヴなども、もっと評価されてほしい馬です(ただ、エアグルーヴは、産駒があと1頭G1を勝てば、今後顕彰される可能性はありそうです)。あと、中央での成績はどうなんだ、と言われそうですが、ホクトベガのような馬も、ぜひ「顕彰」してほしいんだけどなあ。ダート路線を確立した馬、という意味でも(それならライブリマウント?)。
短距離、マイル、中距離、長距離と各路線がスペシャリストでなければなかなか勝てない時代でもあり、ディープインパクトでもなければ「殿堂入り」することは難しい時代のようです。

現役では、ダイワスカーレットメイショウサムソン、ウォッカ(は、さすがにあと2つくらいG1を勝たないと難しいか)あたりが今後の候補でしょうが、スペシャルウィークでもダメなら、サムソンも厳しいか。サムソンはちょっと「負けすぎ」なので。

しかし、このままでは来年からまた、エルコンドルパサースペシャルウィークと「該当馬なし」の票の奪い合いが起こって、何年も「殿堂入りなし」が続きそうですね。候補馬は、どんどん「補充」されていくわけですから、ディープのような「圧倒的な実績」がないと、合格は難しそう。

そう簡単に「殿堂入り」されてしまっては価値が下がるのも間違いないのですが、現代には、そんなに「名馬」がいないのか?と、ちょっと寂しくなるような話ではあります。

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