琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編 ☆☆☆☆


文学賞メッタ斬り!〈2008年版〉たいへんよくできました編

文学賞メッタ斬り!〈2008年版〉たいへんよくできました編

文学賞メッタ斬り!」シリーズ第4弾。今回の目玉は、押しも押されぬ、芥川賞作家・長嶋有氏、直木賞作家・石田衣良氏との爆笑座談会。また、恒例の受賞 作選評や、文学賞受賞作の寸評「文学賞の値うち」、第一三八回芥川・直木賞授賞式レポート、第3回「文学賞メッタ斬り!」大賞、今回より発足した「文学賞 メッタ斬り!」新人賞など、今回もてんこ盛りです。(青山ブックセンターの書籍紹介より)

 シリーズ第四弾。文学賞好き、日本の現代文学(と、その舞台裏)好きの人には「待ってました」という感じではないかと。
 このシリーズをずっと読み続けている僕にとってももちろんそうなのですが、WEBでの大森さん、豊崎さんの「芥川賞直木賞予想」を毎回愉しみにしている僕としては、既読の「WEBでの予想」がそのまま掲載されて、かなり多くのページ(50ページくらい)を占めているのは、ちょっと残念だなあ、とは思います。
 前回の「2007」では、「文学賞の格付け」なんていう、「自分でも書いて、文学賞に応募してみたい人」へのサービス企画があったのですが、今回は正攻法の「読みたい人向け」の内容です。
 芥川賞作家の長嶋有さんと直木賞作家の石田衣良さん(石田さんって、今でも月に50件くらい取材が入るそうですよ、凄い!)との対談と選考委員へのツッコミ、文学賞受賞作品の評価、「メッタ斬り!文学賞」。「メッタ斬り!文学賞」は、毎回冗長でうんざりしていたのですが、今回は比較的短くまとまっていて良かったです。でも、この受賞作なら、わざわざこの本でページを割く意味があるのだろうか……)

 今回の「メッタ斬り!」には目新しさはありませんし、読みどころといえば、「選考委員たちのエピソード」くらいではありました。
 まあ、僕にとっては、中原昌也さんが、川上未映子さんの芥川賞受賞パーティでやったというスピーチの話

豊崎由美スピーチが始まる前、司会の文春社員が「ここに集まったみなさんは、川上さんの小説が好きな人ばかりでしょうから、賛しかないはず、まさか否の意見は出ませんよね」って冗談かましてたじゃない? 川上さんも「そんなん否とかでたら、うち落ち込むわー」って笑ってて。にもかかわらず、締めのスピーチで《文藝春秋》に掲載された石原慎太郎の選評を絶叫。<受賞と決まってしまった―――!! 川上未映子氏の―――!!『乳と卵』を私はまったく認めなかった―――!!>(笑)。もう、大爆笑ですよ。で、僕が賛否の否を代表しました―――!って。スターだわ、中原くんは生まれながらのスターだと思った。あたしゃ、惚れ直しましたね。

 そして、直木賞候補になった某作品について、石田衣良さんが明かしてくれたこんな話。

石田衣良あ、面白い話があって。去年の冬かな、新潮社のパーティで渡辺(淳一)さんと立ち話をしていて、「石田君、今度の直木賞候補作なんだけど、ほんとに困ってるんだよ。君、想像できるかね。鹿がしゃべるんだよ」って(場内爆笑)。「そんな本はないだろう!」って言われて、「いやー、どうでしょうかね、渡辺さん」みたいな話だったんですけど、案の定、その本はだめでしたね。

 ここは僕も笑いすぎてお茶噴いてしまいました。いやー、でも一応候補作に目を通してはいらっしゃるんですね渡辺先生。
 万城目学さんからみたら、こういう人って、まさに「最良の読者」なんじゃないかなあ、素直に驚いてくれるのだから。

 「文学賞とその周辺好き」にとっては、こういうのが読めるだけでも「値段分の価値は十分ある」本です。
 

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