琥珀色の戯言

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「はてなダイアリー」が「アメブロ」に勝てない理由


五輪選手、ブログで本音 中傷受けて削除も(asahi.com)

日本選手団の主将も務める柔道男子100キロ級の鈴木桂治選手は1回戦で敗退、敗者復活戦も初戦で敗れた。18日、ブログに「誰とも会いたくないし、なるべくなら帰国もしたくないくらいです」と書き込んだ。読者のコメント欄には「謝る必要なんてない」「最後まで、主将を全うしてください」と励ましのメッセージが連なる。

 しかし、14日の敗戦直後は、「練習していないで遊んでいるからこういうことになるんだ!」「暴言ばっかだねココ」といった書き込みが相次ぎ、ブログの管理者は削除に追われた。

 鈴木選手ら6人と1チームの五輪出場者も利用するサイバーエージェント(東京都渋谷区)の「アメーバブログ」は、ブログ開設者約357万人のうち芸能人やスポーツ選手が約2300人を占める。人気ブログも多いが中傷が殺到する「炎上」の危険もあるため、タレントやスポーツ選手のブログは外部委託を中心に約20人が書き込み内容を監視している。「わいせつな内容や中傷に加えて、スポーツ選手はプレーへの批判も削除対象」と広報担当者は話す。

 複数のブログやサイトの監視を受託している企業の担当者は「炎上しかけたら、営業や経理担当者まで動員することもある」。陰の努力がブログ運営を支えている。


アメーバブログの「タレントブログ囲い込み戦略」(活字中毒R。(2008/6/11))

いち早くPV(ページビュー)を上げるために、注目度の高いタレントを集める。そのために専門のグループを組織し、囲い込みに行く。それがアメーバブログの戦略なのだ。そのため同社では、他のブログポータルとは違い、タレントブログに対し、特別なケアをしている。

「公式タレントブログは、一般ユーザーのブログに比べて、大量のアクセスやコメントの書き込みに耐えられるように専用のシステムを使っています。また、24時間体制で人員を配置し、すべてのコメントを人力でチェックする仕組みも導入しています。荒らし目的のコメントが書き込まれた場合、基本的には15分以内に対処。芸能プロダクションのみなさんに、タレントさんのプロモーションツールとして、安心して使っていただけるようにしています」

 タレントや芸能プロダクションにしてみれば、ありがたい話だが、それ以外に何か優遇していたりはしないのか? 例えば、テレビで視聴率が取れるタレントはギャラも高い。それと同じようにPVを稼げるタレントブログには、ギャラが発生していてもおかしくない。

「弊社では、出演料のようなものは基本的にはお支払いしていません。弊社はPVアップ、芸能プロダクションは高いプロモーション効果ということで、お話を進めさせていただいております」

 まあ、「ハイリスクな芸能人ブログ」は、2300人のうちのごく一部なのでしょうが、これだけの数のブログを24時間体制で20人というのは、かなり辛そうな仕事ではあります。しかしながら、最近のアメブロの躍進をみていると、やはり「広告塔となる芸能人ブログ」の存在は、ブログサービスにとってかなり大きなメリットになるのではないかと思われます。
 今から考えると、アメブロの「芸能人ブログ用の設備投資」は、まさに「経営上正しい戦略」だったわけです。そんな「特別扱い」のためにコストをかけるなんて、と最初はみんな思っていたはずなのに「芸能人にタダでブログを書いてもらえるメリット」というのは、そんなコスト以上に大きいようです。


id:orangestarさんの「はてなメモ」というエントリ(2008/8/22)を読んで、

はてなはなんでユーザーが増えないのか
→知名度が低い

なんで知名度が低いのか

→大きな会社がバックについてない

はてなは人と人とをつなげるサービスが弱い
キーワードとか商品でこそつなげるんですが、他のブログサービスに比べて、人と人とをつなげるサービスが弱い。

 これらの項について、僕も考えてみたのです。
 僕の実感としては、「はてなは人と人をつなげるサービスが弱い」わけではないと思うのですよ。
 「はてな」の場合は、「つながりやすい」というか、「スパムじゃないけど、つながるとめんどくさい相手につながっちゃう」というところもあるんじゃないかと思いますけど。
 「キーワードリンク」とか「idリンク」「はてな同士であれば、自動トラックバック」などのシステムは、かなり「つながりやすい」システムだと感じています。「はてなブックマーク」もそうだよね。

 内容も来てくれる人の数も違うので参考にならないかもしれませんが、僕がJUGEMで書いている「普通の日記」なんて、本当に「1年書いてて、まともなトラックバックは1個か2個」という世界ですから。ちなみにスパムは毎日消さなければならないほどひっきりなしにやってきます。
 実は、はてなの場合「人と人とをつなげるサービスそのものの弱さ」じゃなくて、「はてな同士ではつながりやすくても、その母集団としてのはてなダイアリーのユーザーの全体数が少ないから、どうしようもない」のです。
 ブログサービスは、ユーザーの新規獲得および囲い込みのために、「同じブログサービス内では、つながりやすい」ようになっているものがはとんどです。そして、他のブログに繋がるのは、同じブログサービス内より、ちょっと敷居が高い。
 となると、人口が少ない上に、芸能人ブログなどでの集客をしようとしないはてなダイアリーは、「鎖国政策をとっている小国」みたいなもので、よくて「現状維持」という政策。将来性としては、かなり厳しいのではないか、と。
 以前も書きましたが、芸能人を積極的に誘致したり、ブログアクセスランキングを設置したりしない「はてな」は、ある意味、すごく潔いというか、硬派なブログサービスなんですよね。
 でも、これからもう少しユーザーを増やそうと思うのなら、技術の革新だけじゃなく、もうちょっと「一般に浸透する」ための戦略が必要なのではないかと。

 そもそも、「はてな」って存在を知らないネットユーザーって、けっこう多いと思います。
今はもう、「流行のブログをはじめてみよう!」というような雑誌が売れるような時代じゃないから、多くの人は、いつも行っているブログの「あなたもはじめてみませんか?」というところをクリックして、自分もブログサービスのトップページにたどり着くのではないかと。

「アメブロ」のトップページ

「FC2ブログ」トップページ

「はてなダイアリー」トップページ

 僕は「はてな慣れ」しているからあまり意識していなかったのだけれども、こうして並べてみると、「はてなダイアリー」のトップページって、「新しくブログを書こうとする人」のための入り口がいちばんわかりにくいし、トップページに並んでいる記事も、なんだかちょっと小難しそうなものが多いですよね。いちげんさんが「ここで書きたい」と思うかと言われるとねえ……そもそも、このトップページにたどり着く人も少なそうだし(だいたい、このトップページからもっとも伝わってくる印象って、「iPhone買って!」なんですけど……広告主は喜びそうだが……)

 結局のところ、めんどくさい内容のブログに集まってくるめんどくさい人たちがめんどくさいブログをはじめる場所、それが「はてなダイアリー」。
 明らかに「客を選んでる店構え」なんですよね「はてなダイアリー」は。
もっとも、そういうところが内部の人間にとっては軽い優越感を得られるところだったり、居心地よく感じたりもするんですけどね。たしかに「はてな」が「アメブロ」のマネをすれば、かえって「個性」が失われてしまうだけなのかもしれません。
なんというか、「はてなダイアリー」は、ブログサービスとしては、ある種の「袋小路」に入ってしまっている印象です。

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