琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

日本を変えた10大ゲーム機 ☆☆☆☆


内容紹介
ゲーム機を通して見えてくる現代史!?
ファミコンゲームボーイ、PS、XBOXニンテンドーDSWiiなどなど……。ゲーム業界のみならず、技術やビジネス、さらには文化に大きな影響を及ぼした日本のゲーム機が勢ぞろい。これらゲーム機を知ることで、「ゲーム立国・日本」のすべてがわかる!

「インベーダーブーム」を小学生のときに体験し、「家でテレビゲームができること」そのものが幸せだった少年時代を送ってきた僕にとっては、すごく興味深いというか、たくさんの思い出の引き出しを開けてくれた本でした。
この300ページにも満たない分量ですべての「テレビゲーム史」を語るというのはかなりの難事でしょうし、個々のゲーム機については、物足りないところもあるのですけど、「ゲーム機の歴史をおさらいする」という意味ではとても役に立ちました。
新書だとしょうがない面もあるのでしょうけど、ゲーム画面とかゲーム機の写真が全然載せられてないのは、ちょっと寂しかったかも。

ここで紹介されている10のゲーム機は、1機種で1冊の本が書けるくらいの「歴史」がありますから、コアなゲームマニアにとっては物足りない本かもしれません。個々の記述に関しては、著者の思い込みで書かれているところもあるように感じましたし、「そのくらい知ってるよ!」というところが多かったのですが、「新しい知識」よりも「今まで断片的に持っていた知識をコンパクトにまとめること」も新書のひとつの存在意義でしょう。「テレビゲーム史」っていうのは、そろそろ誰かが「正史」としてまとめていくべき時期なのではないかと思いますし。
ただ、この本には「物心ついたときから家にプレステがあった」という若者たちが、古いゲーム機について興味を持てるようなインパクトはないんですよね。僕のような「浅く広く長い」ゲーマー向き、なのかも。

ファミコンの開発にあたり、山内・元社長が付けた注文はたったの二つ。一つは、他社が少なくとも1年くらいは追随できないこと。もう一つは、目標価格を9800円に設定すること。すでに性能面では陳腐化していた「カラーテレビゲーム15」シリーズを、三菱と手を組むことでやっと商品化にこぎ着けた当時の任天堂が、である。

結局、ファミコンの定価は14800円になったのですが、当時のファミコンの14800円というのは、まさに「信じられない価格」でした。
値段は安いけど解像度の粗さが目立つ「カセットビジョン」とか、『スクランブル』は衝撃的だったけど、5万円くらいした「ぴゅう太」のことを考えると、「なんでこの『本物そっくりのドンキーコング』や『球が3次元の野球ゲーム』ができる機械がこの値段なんだ?」と。
まあ、それでも当時の僕たちにとって1万円オーバーのゲーム機はけっして「安い」ものではなかったし、おもちゃ屋のファミコンの試遊機の前は、「買えない子どもたち」が群がっていたんですけどね。

あと、『どうぶつの森』のこんな開発秘話も。

 初めはニンテンドー64用の外付け光ディスク装置「64DD」向けに企画されていたところ、64DDの売れ行き不振でニンテンドー64専用へと変更。だが、64DDほど記録できるメモリに余裕のないニンテンドー64では、何かを削らないといけない。そこで、プレイヤーが探索するはずだったダンジョンをなくし、「戦闘」の要素をバッサリ切ってしまったのだ。

結果的には、「戦闘」の要素がないことが『どうぶつの森』と他のゲームとのより明確な「差別化」につながったのではないかと思います。
これは開発陣にとっては、「英断」だったでしょうし、まさか、『どうぶつの森』がこんなに売れて任天堂の代表作のひとつになるとは予想していなかったでしょうけど。

最後に、任天堂のこんな「企業努力」も。

 エネルギー価格の高騰や電気料金の値上がりに敏感な今日この頃、できればゲーム機の電源を切りたくもなる。そこを(ママに)お目こぼししてもらおうと、Wiiは圧倒的な省エネに力を注いでいる。
 ゲームをプレイしている最中のピーク時でも、Wiiの消費電力はわずか45ワット。Xbox360は350ワット、PS3は370ワットというから、発熱量の少なさや、冷却ファンの静かさも比べものにならない。また、スタンバイ時での消費電力は4ワットで、岩田社長いわく「豆電球1個程度」の省エネぶりだ。

まあ、「任天堂のすごい話」ばかりを紹介してしまったのですが、この本のなかには、「任天堂の失敗」も書かれています。
ファミコンの全盛期には、「任天堂帝国は揺るがないだろう」とみんな思っていましたし、プレステの時代には、「もう任天堂は『主流』に返り咲くことはできないだろうな」と考えていた人が多かったはず。
いまはまさに「ニンテンドー第二王朝」の全盛期なのですが、これも「永遠の王国」ではないでしょう。
ゲーム産業そのものが、なんとなく袋小路に入り込んでしまっているなか、「11機種目」はどんなゲーム機になるんでしょうね。


参考リンク:『ゲームミュージアム』いやしのつえ

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