琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

007/慰めの報酬 ☆☆☆


『007/慰めの報酬』公式サイト

あらすじ: 愛する人を失ったジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、世界を支配しようとするものだった。(シネマトゥデイ

日曜日の昼下がり(15時40分から)の回で鑑賞。観客数は50人あまり。
公開直後の日曜日ということもあり、けっこうお客さん入っているなあ、という感じでした。
日頃レイトショーでばかり観ているからかもしれませんが、007には根強い人気があるようです。

ただ、僕はロジャー・ムーアの末期くらいからずっと007シリーズを観ているのですが、あまり「おお、これは面白い!」って思った記憶がないんですよね。もともとアクション映画や恋愛映画よりも、歴史モノやドキュメンタリー系、SF、ファンタジーのほうが好きだということもあるのですが、007って、良くも悪くも「スパイ映画の王道」であるのと同時に、それ以上でもそれ以下でもない。観終えたあといつも思うのは、「ああ、007って、だいたいこういう感じだよな」という納得と物足りなさ。
今回も、いま上映されている映画のなかでは、いちばん気楽に観られそう、という理由で選んだのですが、まさにその通りの作品でした。予告編で紹介されていた「迫力のアクション」は序盤で出尽くしてしまって、その後は肉弾戦、カーアクション、船、飛行機、火災とアクションシーンのショーケースのような内容です。
それぞれのシーンは、そこそこ見ごたえがあるのですが、アクションシーンでの最近流行りの「ハンディカメラで撮ったような画面の揺れ」に、ちょっと酔ってしまいました。『ユナイテッド93』や『クローバーフィールド』では、ああいう「揺れ」も演出のひとつとして認めざるをえないのですが、「万人向け」の映画の『007』で、わざわざそんな手法を採用する必要があったのかどうか?あれは、アクションシーンの迫力を増しているのではなくて、「見づらくしてアラを誤魔化そうとしている」ようにしか思えませんでした。

ボンドガールのオルガ・キュリレンコさんは、スクリーンでは写真で見るよりずっと魅力的な人だなあ、と感じたのですが、この『慰めの報酬』の最大の欠点は、「悪役が魅力的じゃない」というか、「悪役の『悪さ』が伝わってこない」ことなんですよね。ドミニク・グリーンって、「悪の総帥」には見えないんだよなあ。

ダニエル・クレイグさんの「やたらと冷酷でタフなジェームズ・ボンド」はなかなか良かったんですけどね。それで救われている映画ではありました。
106分という短めの上映時間ではありますし、「ちょっと気分転換」には悪くない作品です。
カジノ・ロワイヤル』よりは、良くも悪くも「わかりやすい」ですし。

アクセスカウンター