琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

桜玉吉の日


幽玄漫玉日記1巻 (ビームコミックス文庫)

幽玄漫玉日記1巻 (ビームコミックス文庫)

ついに『幽玄』も文庫になったのか……と思いつつ購入(もう4巻まで出ているみたいです。1冊に単行本の1.5巻分収録されているので、もう完結)。
本日3月2日は、桜玉吉さんの48歳の誕生日。
御緩漫玉日記』の『コミックビーム』での最終回が2007年1月号ですから、もう2年以上「休筆」が続いているんですね。
オトナファミ』に4コマを描いておられるので、ご存命であるのは間違いありませんが。

今回も1年くらいで復帰されるのではないかと思っていたのですが、2年っていうのはけっこう長いよね……

『御緩漫玉日記』3巻の感想に、こんな話を書きました。

僕はあまり熱心な漫画の読み手ではないのですけど、玉吉さんは『ファミコン通信』の『しあわせのかたち』の時代からずっと大好きで、「諸事情のため描けません」と伏せ字を連発している障子の陰に隠れたラスボスと戦う『ドラゴンクエスト2』とか、「『べるのむらまきこ』って、さすがに強引なネーミングすぎないか?」を苦笑しながら読んだ『オホーツクに消ゆ』とかもリアルタイムで読みましたし、その後なぜか『しあわせのかたち』が釣り漫画や日常日記になってからも、ずっと読み続けていたのです。そういえば、漫画が持ち込み禁止だった寮の部屋に僕が隠していた数少ない漫画のひとつが、『しあわせのかたち』だったんだよなあ(あと、連載が始まって間もない『BASTARD!!』も持ち込んでいたのだけれども、その僕が高校時代大好きだった数少ない漫画家2人が、いずれも「もう描けねえ!」と殴り書きの文字でページを埋めて商業誌に大穴をぶち空けた人だとは)。

 以後も『漫玉日記』シリーズから『なげやり』までフォローしていたのですが、最近の僕の玉吉さんへのスタンスは、「桜玉吉の人生ウォッチャー」なんですよね結局。正直、この『御緩漫玉日記(3)』は、人に薦められるような作品ではないと思います。桜玉吉未経験で読んでみたいという方は、『幽玄漫玉日記』あたりから始められたほうが良いです。この『御緩漫玉日記』は、なんとなく、これまで桜玉吉を支持してきた人々への踏み絵みたいな気分にすらなってくるんですよね。「もし玉吉さんが漫画家としてこんなに(っていうほどじゃないかもしれないけど)売れなかったら、玉吉さんはこんなふうに深いところに落ちなくても済んだのではないか?」とか、考えてみたり。もし『しあわせのかたち』がヒットしなかったら、そりゃあ、実入りもそんなに良くはなかったかもしれないけれども、普通のイラストレーターとして、それなりに人生において「しあわせのかたち」を実感できたのかもしれないな、とか。「くまぇり」じゃないけどさ、玉吉さんは、読者を過剰に意識しすぎてしまって自分で自分を躍らせてしまっているのではないかな、とか。

http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20060203#p2

↑は『御緩漫玉日記(2)』のときに書いたものなのですが、

僕が玉吉さんに関する言葉でものすごく記憶に残っているものがあるんですよね。それは、玉吉さんの昔からの友人が、玉吉さんを評した言葉なのですが、彼は、玉吉さんのことを【適当に遊んでいて、仕事もソツなくやって、人付き合いもよくて、誰からも嫌われることもなく…自分の知り合いのなかで、あんなにバランスが取れた人間はいなかったと思う】というように語っていたのです。

実は、「バランスが取れすぎている」というのは、「全く拠り所が無い」というのと同じことなのかな、とか。

「生きていてくれるだけでいいや」という気持ちと「やっぱり描いていてほしいな」というのと。
ファミコン通信』で『しあわせのかたち』を描いておられたときから、玉吉さんも僕もこんなところまで来てしまったのか、と嘆息せずにはいられません。
それにしても、『コミックビーム』は、「ガラスのエース」不在のなか、よく2年間も頑張ってきたよなあ。
O村さん凄いや……

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