琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

流星の絆 ☆☆☆☆


流星の絆

流星の絆

内容紹介
惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった三兄妹。
「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」
14年後――彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。

「この小説は私が書いたのではない。登場人物たちが作りだしたのだ。」――東野圭吾

「ひとり本屋大賞」9冊目。
テンペスト』の後に読むと、あまりの「読みやすさ」に驚いてしまいます。
500ページ近くある作品なのですが、「あっという間に読み終わってしまった」感じ。
まあ、それは逆に「厚さのわりには印象に残らない作品」であることの裏返しなのかもしれませんけど。

展開には意外性がありますし、読後感は爽やか(なだけでもないのですが)。
テレビドラマのキャスティングを思い浮かべながら読むと(僕はドラマは全然視ていなかったけど)、すごくイメージしやすい。
でもまあ、「うまくまとまりすぎている」ような気もするんですよね、これ。
重松清さんの『カシオペアの丘で』を読んだときと同じように、「上手い作家が、技術に頼って作り上げた、いい話」だという感触がしました。
『容疑者Xの献身』や『白夜行』に比べると、なんかこう、心の奥に刺さってくるものが足りない。
これ、「面白い小説」なんですよ本当に。
ちょっと癖のある作品だらけの今回の「本屋大賞」の候補作のなかでは(まだ『モダンタイムス』を読んでませんが)、『のぼうの城』と並んで、「ふつうの読者を気軽に愉しませてくれる作品」だと思います。

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