- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/10/14
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。次々起こる怪事件。だが何かがおかしい。じつはそこは、「本格推理」という概念の存在しない街だったのだ。この街を作った者の正体は?そして街にかけられた呪いとは何なのか。『名探偵の掟』の主人公が長編で再登場。
『名探偵の掟』の「本格推理」のわざとらしさをあえて指摘する、というコンセプトに魅せられ、同じ「天下一探偵」が登場するというこの「続編」を読んでみたのですが……
うーん……
これって、単なる「プチ本格推理」なのでは……
この作品そのものは、けっして「全然ダメな小説」ではないと思います。
しかしながら、「こんな中途半端な『本格』を読まされるくらいだったら、他に読むものがある」と感じたのも事実。
『名探偵の掟』で、ちょっとやりすぎた東野圭吾さんが、「調子に乗ってあんなこと書いたけど、本当は『本格』好きなんですよいやウソじゃなくて!」と、本格推理ファンへの言い訳として書いた作品みたい。
「盗まれたもの」の正体も、すぐにわかってしまいましたし……
少なくとも、『名探偵の〜』と、前作の続編のようなタイトルで煽っておいて、この内容というのは、僕にとっては期待はずれでした。
あの『名探偵の掟』が長編になったらどうなるのか?という興味で読み始めたら、いつまでたっても「既存の推理小説」が続いたのにはがっかり。
まあでも、書く側としては、本格マニアを嘲笑う作品と、それに対して言い訳をする作品ということで、「2度おいしかった」のかもしれませんね。
とりあえず、この『名探偵の呪縛』に、『名探偵の掟』の世界を期待されている方は、肩透かしにあいますので御注意を。