琥珀色の戯言

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自分でやってみた男 ☆☆☆


アフタヌーン新書 008 自分でやってみた男

アフタヌーン新書 008 自分でやってみた男

内容(「BOOK」データベースより)
俺たちは本気なんだ!愛があるから、やってみたい!あのアカデミー賞歴史大作も、このメガヒット漫画も、大のオトナが体を張って実演、また実演。創意工夫とインスピレーション(とあとCG)さえあれば、名場面が俺でもできた!「MouRa」で大反響の馬鹿企画、仰天ビジュアル満載でまさかの新書化!こんな名作の楽しみ方があったのか。

書店で見かけて購入。
「漫画や映画の名場面を、いい大人が『ごっこ遊び』してみる」というふれこみのこの新書、けっこう楽しませてもらいました。
ただし、中身は「大人のごっこ遊び」よりは、けっこう真面目な映画評が主になっています。
その映画評そのものは、けっこう面白いんですが、なんとなく「もっと徹底的にふざけてる本だと思ったのに!」というような違和感はあります。
そして、残念なことに、「本人たちが好きで、一生懸命やっているけれどもマイナーな題材(映画や漫画)」は端っこに追いやられ、「本人たちはあまり乗り気じゃないんだけど、とりあえずセールス的にこのへんをおさえておいたほうが良さそうだという政治的判断で収録されたもの」のほうが大きく採り上げられているように感じました。
北斗の拳』とか『キン肉マン』のネタは、写真も面白くないし、「ページを水増ししているだけでは……」という印象です。
いや、『リベリオン』じゃ売れないだろうから、しょうがないっていうのはわかるんだけど……

とりあえず、この新書から伝わってくるのは、著者の「『リベリオンガン=カタ)』への愛情」なんだよなあ。
クリスチャン・ベールも、『リベリオン』には思い入れが深いみたいですし。

 ガン=カタは、西洋のガンアクションと東洋の諸格闘技を融合させた武術である。確率統計論や心理学をその基礎に持つ。
 それらを駆使して相手の攻撃が当たらぬポジションを即座に看破、使い手が平然と敵の攻撃の前にその身をさらすと、相手はなす術もなくただやられるのみという恐るべき格闘技なのである。
 この武術を極めた者は、たとえ十数名の敵でも一瞬で撃破可能。もはや誰も彼の行動を止めることはできなくなる。その闘う姿は東洋の演舞のように、あるいは西洋の舞踊のように美しい。かつてジャイアント馬場氏は、技がカッコよく見えるように、常に四方のお客さんを配慮しながらリング上でファイトしていたというが、視覚的な面からもガン=カタは、とても優れている。修得すればギャルにモテモテ間違いなしであろう。
 問題はこの格闘技が、一部のマニアに熱く支持されている映画『リベリオン』に登場した「架空の格闘技」であるところだ。

 ウィマー監督自ら、ガン=カタ構想中の自分を「イカれていると思ったね」と語っているが、『リベリオン』は「カッコいいアクションをつくろうと思ったら、カッコつければいいという訳ではない。これ以上越えたらカッコ悪いだろう、という一線をギリギリ越えたあたりに、カッコよさはある」という、なかなか実践するのが難しい創作の機微を教えてくれる貴重な作品なのである。

 実際にこの本のなかで、みんなで「ガン=カタ」をやっている写真は、「なんか太極拳みたいだなあ」という脱力してしまうようなシーンになっているのですが、読んでいると、むしょうに『リベリオン』を観たくなってきたのはまちがいありません(僕はまだ『リベリオン』未見なので)。

 なんとなく、「ディスプレイ上で見たほうが面白そうな内容」ではあるのですが、僕はこういう「自分でやってみてしまう人」、けっこう好きです。
 しかし、アフタヌーン新書、どんどん割高イメージが確定してきているのですが(この本も205ページ、カラー写真なしで税込み860円はちょっと高い)、僕みたいについつい買っちゃう人もけっこういるのでしょうか?
最近、自分でも、「こんなにアフタヌーン新書を買っているアラフォー男は、僕だけなんじゃないか?」と不安になってきました。


リベリオン -反逆者- [DVD]

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