- 作者: 大山くまお
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/06/16
- メディア: 新書
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内容(「BOOK」データベースより)
ビジネス、スポーツ、文学、芸能など、多様な分野で活躍してきた古今東西の人々の名言がこの一冊に!恋や仕事、そして人生にくたびれたり、絶望してしまいそうな時には、名言がきっとよく効くはず。言葉の泉を浴びることで、明日への活力と知恵を得よう。イチロー、姜尚中、ジョブズ、立川談志、アインシュタイン、ガンジー、高田純次…“生きづらい”時代のための名言250。
僕は「名言フリーク」なので、こういう「名言集」を見かけると、ついつい買ってしまいます。
この『名言力』も、そのうちの1冊なのですが、良くも悪くも、「いい言葉」をネットや最近の新聞、雑誌、話題の本などから収集したら、こんな感じになるのだろうな、という印象を受けました。
マンガやアニメからの言葉もあり、「ネット住人が好みそう」な内容ではあります。
全体の傾向としては、「よく知っている人の言葉が多い、ややポジティブ寄り」。
個人的には、「名言集」を差別化するのは、その言葉への著者のコメントの部分だと思うのですけど、この新書の場合は、「毒にも薬にもならない著者の感想」がついているという感じ。
これならいっそ、名言のみを集めるか、その言葉が生まれた背景の解説だけにしたほうが良いのでは。
イチローやゲーテにならともかく、大山くまおさんにお説教されてもなあ……
250個も「名言」が集められていれば、心に響く、あるいは有用な言葉もたくさんあります。
精神的なスランプからは、なかなか抜け出すことができない。
根本的な原因は、食事や睡眠のような基本的なことにあるのに、それ以外のところから原因を探してしまうからだ。
ロバート・フロスト
人付き合いがうまいというのは、人を許せるということだ。
恋をすることは苦しむことだ。
苦しみたくないなら、恋をしてはいけない。
でもそうすると、恋をしていないことでまた苦しむことになる。
こういう言葉は、「いかにも現代的」であるのと同時に、「普遍的」なものではないかと思います。
「非コミュ」「非モテ」という概念は、ネット時代にはじめて生まれたわけじゃない。
ウディ・アレンの言葉には、深く頷きながらも、「じゃあ、どうすればいいんだよ!」と言い返したくもなりますが。
最後に、これは250個の「名言」のひとつではなく、著者のコメントのなかで出てくる言葉なのですが、僕にはとても印象深かったものを御紹介しておきます。
ノーベル平和賞を受賞したとき、インタビュアーに「世界平和について我々にできることは?」と尋ねられたマザー・テレサはこう答えたそうです。
「帰って、家族を大切にしてあげてください」
ネットの影響もあって、簡単にさまざまな「情報」が得られるようになりました。
でも、「天下国家」を語り、「自分の論理的な正しさ」を証明することにばかり夢中になっている人の言葉は、僕にはとても空虚なもののように感じられるのです。
本当に「解決すべき問題」は、すぐ目の前にあるはずなのに。