琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

ミルク ☆☆☆☆


ミルク [DVD]

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【ストーリー】
1970年代アメリカ、同性愛者であることを公表してアメリカで初の公職に就いたハーヴィー・ミル
クの波乱に満ちた短い人生を感動的に描く。
1972年ニューヨーク、ミルクは20歳年下のスコット・スミスと恋に落ちる。2人はサンフランシス
コに移り住み、自由な空気のカストロ地区で小さなカメラ店を開く。やがてミルクは同性愛者、有色
人種、シニア層など社会の弱者の
“声”を伝えるべく政治の世界へと飛び込む。そして1977年、4度目の出馬でサンフランシスコの市
政執行委員選に見事当選し、マイノリティを支援する条例を実現するための行動を推し進める。しか
し、翌1978年11月27日、彼は志なかば敵対する市政執行委員の凶弾に倒れた。
彼の人生最後の8年間、いったい何があったのか・・・。

アメリカではじめて、ゲイであることを「カミングアウト」して公職に就き、志なかばで暗殺された男、ハーヴィー・ミルク。
この映画は、「マイノリティ」であることを受け入れ、社会の片隅で生きてきた彼が、自分たちの居場所をつくり、「アメリカを、そして世界を変えようとした物語」です。
ことさらにミルクを美化するのではなく、彼と仲間たちが行ってきたことを、「裏工作」的なものも含めて、かなり史実に忠実に描かれています。
偏見に悩まされた時代から、「ゲイの代表としてだけではなく、『個人の自由と権利の象徴』となったミルク。
彼が晩年には政敵に「お前はゲイ問題という『武器』があっていいなあ」と羨ましがられるのは皮肉なことです。

正直、僕には彼らのやり方がちょっと過激に思えるところもありましたし、一緒に観ていた嫁の指摘で気づいたのですが、「ゲイそのものへの偏見」は無いつもりでも、この映画でも描かれている「ゆきずりの相手をすぐ寝てしまう人たち」(ゲイがみんなそういうわけじゃない、とは思うけど)に対する不快感はありました。僕は、男女間でも、そういうのって、なんか信用できなくて。

この作品では、「自由の国、アメリカの不自由さ」が容赦なく描かれています。人種差別が建前上撤廃されても、こういう差別が、つい最近まで(あるいは今でも)「自由の国・アメリカ」には存在しているのです。

それにしても、「平等」とか「公平」って、本当に難しい。
日本で男女雇用均等法が施行されたときに、大学の講義で「これはかえって、女性優遇じゃないか?」という話が出たんですよね。そのとき、大学の先生は、「いままで女性は差別されていたのだから、優遇するくらいじゃないと『公平』にはならない」と言っていました。
僕はその言葉に疑問を持ちつつも、天秤を逆に傾けるくらいじゃないと、やっぱり「平等」にはならないのかな、と悩んだのを覚えています。

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