琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

このミステリーがすごい! 2010年版 ☆☆☆☆


このミステリーがすごい! 2010年版

このミステリーがすごい! 2010年版

内容紹介
年末の風物詩、ミステリー&エンターテインメントランキングの決定版!
『このミス』は定価500円、ワンコインで極上のエンターテインメント情報をお届けします!
「ハズレなし!」と、注目のランキングはもちろん、堺雅人さんのインタビュー、ミステリー好きの著名人によるおススメミステリーなどを掲載しています。
また、ベストセラー作家・海堂尊、ドラマ「相棒」のスピンオフ小説でおなじみのハセベバクシンオー、若者に絶大な支持を受ける山下貴光、3名による『このミス』でしか読めない短編ミステリーも特別掲載。
50名以上の人気作家による特別エッセイなど、内容盛りだくさんです。


いまや「年末の恒例行事」となった『このミス』の2010年度版。
チーム・バチスタの栄光』の海堂尊先生をはじめとする『このミス大賞』出身作家の短編が3本収録されており、総ページ数は263ページ。それで500円で売られているのですから、本好き・ミステリ好きにはたまりません。


ただ、今年のランキングについては、正直「物足りない」印象がありました。
いや、東野圭吾さんの『新参者』も柳広司さんの『ダブル・ジョーカー』も、良い作品だと思いますよ。
でも、そんなにディープなミステリファンでもない僕が最初に思いついた2作品のワンツー、というのは、ちょっと淋しい。
東野さんは、もう「殿堂入り作家」として、みんな投票しないのではないかと予想していたくらいなのに。
『このミス』には、去年の『完全恋愛』みたいに、「こんな作品があるとは知らなかった!読もう!」とワクワクさせてくれるような作品が上位にランクインしていてもらいたいんだけどなあ。
それは、編者たちの責任ではなくて、現在の『ミステリ』が、ちょっと勢いを失っているせいなのかもしれません。
もちろん、何年か前みたいに、「叙述トリック」を駆使した一発芸みたいな作品ばかりになってしまうのもどうかとは思うのだけど(今から考えると、あれはあれで面白い時代ではありましたが)。
それにしても、「叙述トリック」って、最近はあんまり見なくなりましたね。もうネタ切れなのかな。


ランキングは、年々紹介コメントがそっけなくなっていくなあ、と思いながら読んでいたのですが、有名書評家たちによる、本音の座談会(『このミス大賞』受賞作品がこきおろされていたのは、ちょっと笑ってしまいました)や毎年ミステリ作家たちが来年の予定を紹介する「私の隠し玉」に、今年は「私のデビュー直前/直後」という作家たちのデビュー秘話のエッセイが併録されていて、これが読んでみると予想以上に面白く、得した気分になれました。これだけでも、500円くらいの価値はあるかもしれません。


建倉圭介さん(現在もソフトウェア企業で役員をされているそうです)の

 ただ弁解をすると、日本語でまともな文章が書けない者は良いプログラムを書けないと、今も思っています。なぜならプログラミングもコンピュータにわかる文章を書くことにほかならないからです。

のような、短くても含蓄のある言葉が満載です。


あと、収録されている短編は、率直に言うと、どれも「うーん……『このミス大賞』出身作家たちのプロモーションなんだろうけど、この短編を読んで、他の作品を読む気がするかな……少なくとも僕はしないな……」というレベルの作品でした。
とくにハセベバクシンオーさんの作品は、「どこかで読んだことがあるような話だけど……ええっ、そんなつまんないオチでいいの?」とガッカリ。面白い作品もある人なのに、わざわざこんな作品を『このミス』に掲載しなくても……


とりあえず、『このミス』ファンや面白い本を探している人にはオススメの本です。
この本のなかでは、ミステリ作家たちも、ちょっとくつろいだ素顔を見せてくれていますし。


ちなみに、僕が今年度版で気になったのは、『仮想儀礼』と『犬の力』でした。


しかし、「ミステリ」の定義って、結局どうなっているんだろう?
世間に「ミステリ作家だと認知されている人が書いたものがミステリ」なの?
個人的には、今年のミステリ1位は、村上春樹1Q84』なんだけどなあ……

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