琥珀色の戯言

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クリスマス・キャロル ☆☆☆


クリスマス・キャロル (集英社文庫)

クリスマス・キャロル (集英社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
クリスマスの前夜、ケチで意地悪なスクルージ爺さんの前に、7年前に死んだはずの共同経営者マーレイの幽霊が現われた。そしてスクルージは、3人の精霊によって自分の過去・現在・未来の姿を見せられる…。文豪ディケンズが、クリスマスを舞台に人間の愛と善意をペーソス溢れる筆致で描く世界的名作。

とりあえず、この時期に読まないで、いつ読むんだ?という世界的名作。
ものすごくひらたくしてしまうと、強欲な男が、精霊に過去・現在・未来の「第三者からみた自分の姿」を見せられることにより反省し、改心して善行に目覚め、人生を変えることができた、という話です。
この文庫には「解説」がかなり含まれているので、小説そのものは180ページ足らずなのですが、訳されたのが1970年代半ばということもあり、正直、あんまり読みやすくはありませんでした。
そして、僕のなかでは、自分の嫌われっぷりを見せられて動揺するスクルージに対して、「ええっ、お前はそのくらい覚悟の上で、強欲嫌われ人生をチョイスしてたんじゃないの?」という気持ちもあったんですよね。
そのくらいで「改心」するなんて、もともとそんな悪い人じゃないよね。

しかし、その一方で、「自分が他人からどう見え、どう思われているかを目の当たりにすること」ほど、人間を傷つけることはないのかな、とも感じました。
「別に嫌われてもいいよ」「他人なんて信用ならない」というようなことを僕もすぐ考えてしまうのですが、だからといって、「嫌われているかもしれないという想像」と、「嫌われているのを目の当たりにすること」は、やっぱり違う。
それに、スクルージの側にも、「そういう人間になってしまった事情」はあるわけで。

僕はこの物語の「結末」に正直ホッとしましたし、自分の子供にも(小さい頃に)読ませておきたいな、と思いました。
しかしながら、ディケンズがこの作品で描いたような、「貧しいひとたちへの施しが自分を幸福にする」という物語に「そんな綺麗事を言われても……」という気がしたのも事実です。

幸福の王子」のほうが、子供の頃の僕にはインパクトがあったんだよなあ……


参考リンク:『幸福の王子』(オスカー・ワイルド)

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