琥珀色の戯言

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死亡フラグが立ちました! ☆☆


死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)

死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)

内容紹介
『このミス』編集部が驚愕した話題作! “死神”と呼ばれる暗殺者のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される。
特ダネを狙うライター・陣内は、ある組長の死が、実は“死神”によるものだと聞く。事故として処理された組長の死を調べるうちに、他殺の可能性に気づく陣内。凶器はなんと……バナナの皮!?

死亡フラグ】とは、漫画などで登場人物の死を予感させる伏線のこと。キャラクターがそれらの言動をとることを「死亡フラグが立つ」という。

 三百数十ページの文庫なのですが、宝島社文庫にしては、珍しく分冊にしていないんだなあ、と思いました。
 ここは文庫にする際に、けっこう強引に上下巻にしてしまうことが多いので。
 まあ、読んでみれば、その理由もなんとなくわかりましたし、分冊していないことが「死亡フラグ」だったのかもしれません。

 作家やミュージシャンの「隠し玉」「未公開作品」に傑作なし。
 そもそも、本当に売れる、あるいは高く評価をしている作品ならば、すぐにでも世に出したくなるのが創作者やメーカー心理のはず。
 この作品でいちばん面白いのは『死亡フラグが立ちました!』というタイトルかもしれません。

 これ、たぶん「バカミス」を狙っているんだろうな、と思いつつ読み進めていったのです。
 もしかしたら、「バカミス」に見せかけて、驚天動地の仕掛けがあるんじゃないか、とほんの少しだけ期待しつつ。
 結果的には、その期待は、失望に変わってしまいました。

 いや、「腰砕けの、しょうもないオチ」なら、それはそれでいいんですよ。
 それなら、「ネタとして使える」から。

 ところが、この作品、いろんな登場人物が出てきて、都合良くヒントを出しては、バタバタと死んでいき、最後は中途半端に終わってしまうのです。
 読者の想像力をかきたてるために「最後まで書かない」のではなく、いろんな要素を詰め込もうとしたけれど、作者も収拾がつかなくなって、投げ出して終わらせてしまった、そんな感じ。

 もっと徹底的に悪乗りして、「バカミス」であることを突き詰めれば、それなりのネタ作品になったかもしれないのに……
 赤塚不二夫先生の座右の銘「もっと真面目にふざけなさいよ」を、この作品に捧げたい。
 ほんと、大丈夫なのか、宝島社文庫、大丈夫なのか、『このミス』大賞……

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