琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

フリーター、家を買う。 ☆☆☆


フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。

「母さん死ぬな――」へなちょこ25歳がいざ一念発起!?崩壊しかかった家族の再生と「カッコ悪すぎな俺」の成長を描く、勇気と希望の結晶――  商社勤務「経理の鬼」の父が原因で、重度の鬱病に罹った母。入社三カ月で会社が嫌になって退社しブラブラしていた25歳の俺が、名古屋の病院に嫁いだ姉にどつかれて、ある日、ふと目覚めた。もしかして、俺カッコ悪すぎ??そこからへなちょこ若者の成長が始まる。崩壊しかかった家族の再生と、主人公の成長過程を優しく描く、家族愛と希望に満ちた一冊。もちろんベタ甘ラブもあり。不況を生きるすべての老若男女に贈る、大ベストセラー『図書館戦争』『阪急電車』の著者による長編小説です。

テレビドラマ化され、話題の小説。
ただ、ドラマは原作とはかなり設定を変えているみたいです(僕はドラマは未見)。
個人的には、なんか読んでいて辛い作品だなあ、と思いました。
父親にあまりにも責任を押しつけてばかりいて、周りの家族はみんな「いい人」になっているように思えるし、主人公も、こんなに急に変われるなんて信じがたい。
そして、僕がいちばん読んでいてイヤだったのは、「ものすごく気が強くて、正論ばかり吐いて父親と主人公を責め立てる姉・亜矢子」でした。
(いかにも香里奈さんがキャスティングされそうですよね、この人)
僕はどうも「正しさを振りかざして、他人を追い詰めずにはいられない人」が苦手で。
だいたいさ、こんな主人公みたいな「自分探しを理由に3か月で退職しちゃう人」が、そんなに簡単に変われないよね。
もちろん、「変われるかもしれない」って、希望を与えることは大事なのかもしれないし、有川さんだって、そんなに甘いものじゃないとわかりつつも、そういう「ベタな希望」を描いているのかもしれないけれど。

そもそも、このお母さん、引っ越しを勧めるより、最初に病院を受診した時点で入院させるべきだと思います。
希死念慮もあるし、よく通院加療でOKにしたな、と。


この作品が描く「それぞれ至らない人間たちが紡ぎ出す家族愛」って、それなりに魅力的です。
しかしながら、これを読んだり、テレビドラマを観た人たちに、「鬱病は、家族のせいで罹患するもの」あるいは、「家族の愛情が足らないから、鬱病がよくならない」という誤解を与えてしまうような気もするんですよね。
そんな簡単なものじゃないのに。


僕は有川さんの作品、「ベタだなあ」とか言いつつもけっこう読んでしまうのですけど、この『フリーター、家を買う。』については、前半の押しつけがましさと、後半の甘ったるさが混じりあって、なんともいえない気持ち悪さを感じてしまいました。
たぶん、本当の苦しんでいるフリーターは、この作品を読んでも救われないんじゃないかな、だいたい、「第二新卒」でも、「おおっ!こんな土建屋東工大卒が!」とか、「学歴」が武器になっちゃうんだからねえ……

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