- 作者: 窪美澄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/07
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。
「これって性欲? でも、それだけじゃないはず」
それだけだろっ!
2011年『ひとり本屋大賞』4冊目。
Amazonのレビューでも大好評のこの小説なのですが、僕にはどこが良いのか、さっぱり分かりませんでした。
僕は基本的に「恋愛小説」が苦手だし、なかでも、「中高生をセックス猿扱いしている『大人』の小説」が大嫌いなんです。
自分が学生時代に全くモテなかったというトラウマのせいなのかもしれませんが、こういうのが「女による女のための小説」として大絶賛されているのでしょうか。
「女による女のための小説」って、レディコミの小説化+わかりやすい「産院での出産の物語」とかでいいの?
冒頭の
たとえば、高校のクラスメートのように、学校や予備校帰りに、どちらかの自宅や県道沿いのモーテル、あるいは屋外の人目のつかない場所などにしけこみ、欲望の赴くまま、セックスの二、三発もきめ、腰まわりにだるさを残したまま、それぞれの自宅に帰り、何食わぬ顔でニュースを見ながら家族とともに夕食を食べる、なんていうのが、このあたりに住むうすらぼんやりしたガキの典型的で健康的なセックスライフとするならば、おれはある時点で、その道を大きく外れてしまったような気がする。
というのを読んで、僕は気分が悪くなりました。
どこのエロ本ライターのオッサンだよこれ書いたの。
これが本屋大賞にノミネートされ、『本の雑誌』が選ぶ2010年度ベスト10の「第1位」とは……
『本の雑誌』への信頼が、ガラガラと崩れ去りましたよ僕は。
この小説のオビには、井上荒野さんの「この小説が描くのは生きていることへの圧倒的な肯定である」という読売新聞での書評の一部が紹介されています。
でもね、僕はこんな生きかたをすることをそう簡単に肯定しきれない。
僕は子どもの頃、将来のために、いろんなことをガマンしてきました。
大人になったら、もっと分別がついて、いろんな欲望に耐えられるようになるんだろうな、って、なんとなく思ってた。
でも、大人になってみると、大人って、「悪いことを悪いと知りながら行うことができる生き物」なのだな、と感じるようになりました。
「未来に希望が持てないから、ガマンしない」大人は、本当にたくさんいます。
僕だって、そういう気分になることもあるのです。
だからこそ、大人は、子どもをこんなふうにセックス猿扱いすべきではないと思うし、そういう小説は「不快」なんですよ。
すみません、なんかやたらと苛立ちをぶつけているだけの感想になってしまって。