琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

塔の上のラプンツェル ☆☆☆☆


『塔の上のラプンツェル』公式サイト

あらすじ: 深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなり……。

2011年に映画館で観た映画、10作品め。
3D吹き替え版を木曜日のレイトショーで鑑賞。


前に映画館に行ったのが『ナルニア国物語・第三章』のときで、まだ3週間くらいしか経っていないのですが、なんだか本当に久しぶりに映画を観たような気がします。
というか、この3週間で観た「2時間以上の娯楽作品」って、先日テレビでやっていた、『ワンピース』のチョッパーの話くらいなんですよね。
思い返してみて、自分でもちょっと驚いているのですが。


この『塔の上のラプンツェル』、映画館で予告編を観たときには、「ああ、これは観に行かない映画だな」と感じました。
第一印象はかなり悪かったのです。
ジブリ絵」が基準になっている僕にとっては、この映画のキャラクターは、「おっ、ティム・バートンが『コープス・ブライド』の続編をつくったのか?」としか思えなかったし、「ありきたりのとらわれのプリンセスもの」にしか見えなかったし。


今日観に行ったのも、要するに、「他に観たい映画はないけど、何か映画を観たかったから」だったんですよね。
『ツーリスト』の評判があまり良くないのに比べて、こちらはネットではかなりの高評価。
上映時間も短いし、ディズニーがどんな3D映画をつくるのか興味も少しあったので、こちらを観ることにしたのです。


結論としては、「観て正解」だったと思います。
この映画、もうすぐ40歳になる男がひとりで観るのは、哀しくなってくるくらい「デートムービー」にピッタリではないでしょうか。
残念ながら、レイトショーの館内には、僕ひとりだけ。
上映作品のためなのか、3月31日という日はみんな忙しいのか、世間の自粛ムードのためなのかはわかりませんが、観たシネコンそのものが静まり返っているような気がしました。
こんな状態が続けば、もともと客入りがいまひとつのこのシネコン、潰れちゃうのではないだろうか……


この『塔の上のラプンツェル』、ストーリーにはツッコミどころ満載です。
冒頭の「母親は、目立たないように、ラプンツェルを塔の上に隠しました……」というナレーションとともに、ババーンと深い森の中にあらわれる、高い高い塔!
……これ、どう考えても、かえって目立ってるよ……
クライマックスで、なぜか活動限界に達してしまうラプンツェルの髪の「機能停止の条件」とか(これまでの事例だと、あちらのほうの機能は残るのでは……)
これまでもたくさん「偽プリンセス」が登場してきていそうな状況なのに、なぜあっさり信じてくれたのか、とか。
まさか、DNA鑑定をやるような「世界」じゃないだろうし。
そのうえ、フリンがまた酷いヤツなんですよ。
この映画のなかでは、何の疑問もなしに「正当化」されていますが、どうみても仲間のほうが不憫だし、お城の警備隊のほうが正しいのに。
急に「夢」とかを語りだす、酒場でやさぐれている連中も気色悪い。
僕がアンタレスだったら、「ラプンツェル、撃たれる前に撃て……」と言い残したいような環境です。
いや、「おとぎ話」に「リアリティがない!」なんて怒るのは不粋だとは思うんだけど。


でも、そういうストーリー上のツッコミどころを忘れさせてくれるほど、この映画の映像は素晴らしい。
いかにもディズニーっぽいキャラクター(とくに人間)のデザインも、動いている場面ではほとんど気になりません。
クライマックス近く、無数のランタンを飛ばす「空への精霊流し」のシーンの美しさは、映画史に残るのではないかと。
この映画の3D映像って、これまでによくみられていたような「観客を驚かせ、のけぞらせるような3D」ではなくて、心の琴線を揺らすというか、「目の前に近づいてきた蛍に、そっと手を差し伸べたくなるような3D」なんですよ。
ぜひ、映画館で、3Dで観ていただきたい。


ベタな夢物語で、上映時間が短くて、美しい映像を満喫できる。
この映画って、実は「いま観るのにちょうどいい」のかもしれません。
ただ、作中の主人公たちが水に流されるシーンは、津波ではないのだけれど、正直、観ていて少し息苦しい感じがしました。
直接被災したわけではない僕でさえそうだったのですから、今後、映画や漫画での「水の表現」には、配慮が必要になってくるかもしれませんね。

あと、中川翔子さんの声優っぷりは、なかなか良かったですよ。

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