- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/08/20
- メディア: ハードカバー
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内容紹介
このままずっと小説を書き続けるか、あるいは……。小説家と、彼女を支える夫を突然襲った、あまりにも過酷な運命。極限の選択を求められた彼女は、今まで最高の読者でいてくれた夫のために、物語を紡ぎ続けた――。「Story Seller」に発表された一編に、単行本のために書き下ろされた新たな一篇を加えて贈る完全版!
「ひとり本屋大賞」7冊目。
これは、ちょっと僕には「合わない」小説でした。
※以下、有川浩さんのファンは読まないほうが良いと思います。たぶん不快になるから。
主人公の女性作家とその夫になる男との出会いの場面とか、読んでいるほうが恥ずかしくなってしまったし。
そもそも、僕は「難病とか、人が急に死ぬことによって、読者を泣かせようとするフィクション」って、どうも苦手なんですよ。
この作品の場合、そういう純愛+作家・有川浩の決意表明と周囲へのうらみつらみがあまりにも透けてみえて(もちろん、「わざと主人公の女性作家=作者」だと誤解させている可能性もあるのですが)、とくに有川さんの大ファンというわけではない僕にとっては、「うわー自意識過剰……」としか思えませんでした。
あと、主人公の「正しさ」を証明するために、「認知症の身内」と「理解のない家族」のエピソードを挿入しているところは、いくらなんでも「あざとい」のではないかと。
有川さんは、「自分のファンを喜ばせるポイント」「読者を感動させるツボ」を熟知している作家だと思います。
でも、最近の有川さんの作品は、「上手くなりすぎて、効率よくツボを押すだけの小説」になってしまっているような気がしてなりません。
なんか物足りないというか、「こんなもんでいいんでしょ?」って、言われているような感じがするんですよ。
これが、本当に「書きたい作品」なのだろうか?
この『ストーリー・セラー』、僕には、なんでこれが『本屋大賞』にノミネートされたのか、理解できませんでした。
桜庭さんとか、伊坂さんとか、道尾さんが、次々とタイトルを獲っていって、「次は有川さんの番!」っていう書店員さんが多いのかもしれないけれど、この作品なら、文庫書き下ろしでも『シアター!』をノミネートしたほうが良いのでは……
こうして、毎回「受賞できそうもない作品」でノミネートされる有川さんをみていると、『図書館戦争』のときに獲っておくべきだったのかなあ、なんて思えてなりません。