- 作者: 梓崎優
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/02/24
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作。
この本の詳しい内容は、こちらを読んでいただければわかりやすいと思います。
「ひとり本屋大賞」8冊目。
各所でかなり評判になっている、この『叫びと祈り』なのですが、最近の潮流とはちょっと毛色の違う、「異文化交流ミステリ」という感じで、僕も感心しながら読みました。
よその国では、こんな理由で人が殺されることもあるんだな、って。
いやまあ、逆に、外国からすれば、「ネットで無視された」という理由で都会の真ん中で無差別殺人をやる人がいることのほうが、はるかに「理解不能」なのかもしれませんが。
この『叫びと祈り』には5つの短編がおさめられているのですが、収録作のデキには、けっこうばらつきがあるような気がします。
ミステリーズ!新人賞受賞作の『砂漠を走る船の道』、『叫び』『凍れるルーシー』は、なかなか面白い作品だったのですが、『白い巨人』の「トリック」に関しては、「なんじゃそりゃ……」と脱力するばかりですし(そもそも、トリックともいえないような理由だし)、叙述トリックも繰り返されるとちょっと萎えます。
文章には独特の雰囲気もあるのだけれど、なんだかまわりくどいというか、もったいぶられている感じで、いくら読んでも話が前に進まないような気がしたのも事実。
とても偏差値が高そうな作家と作品ではあるのですが、手間のわりには美味しいところが少ない甲殻類みたいな感じ。
好きな人は、ものすごく好きな作品だとは思います。
「美味しいところ」には、けっこうインパクトがあるので、表題作を書店でちょっと読んでみて、気に入れば、というところかもしれません。