琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

電人ザボーガー ☆☆☆☆☆



『電人ザボーガー』公式サイト

<あらすじ>
第1部「たたかえ! 電人ザボーガー
亡き父が遺したスーパーロボット電人ザボーガーとともに悪のサイボーグ組織・Σと今日も戦う秘密刑事・大門豊。その激闘の中、Σのメンバー・ミスボーグと豊との間には奇妙な交流が芽生える。それはやがて、悲劇へとつながる禁断の扉の幕開けでもあった。


第2部「耐えろ大門! 人生の海に! 」
Σとの戦いの中起こった悲劇から25年が過ぎ、秘密刑事も辞め熟年になっていた豊には、かつての正義の心は枯れていた。わずかばかりの賃金を得ていた職も失い、何もかもなくした豊の前に、Σの幹部・秋月と“ 最強の敵 ”が現れる。はたして、豊は正義の心を取り戻し、Σを倒せるのだろうか。

2011年26本目の劇場鑑賞作品。
いつもとは違うシネコンで、金曜日のレイトショーを鑑賞(近くの映画館では上映していなかったのです)。
僕自身もつい最近までこんな映画が公開されていることすら知らなかったのですが、ネットで知って「これは特撮少年かつ大人になってもマニア心を捨てきれない僕が好きそうな映画だ!」ということで観に行きました。


いや、実に素晴らしい映画でした。
あまりに僕の好みに適合しすぎていて、これじゃ興行成績は厳しいだろうなあ、と心配になってしまったくらいです。
そもそも、家族連れで行くと、子どもは途中で何がなんだかわからなくなり、妻には「何この学芸会?」と呆れられ、なぜ『三銃士』か『ステキな金縛り』にしなかったのかと責められながら、お父さんだけがニヤニヤしているという光景が目に浮かぶよう。
僕が行った回も、中年男性が3人(僕含む)+カップル1組、という構成でした。
もしこの映画を観ていたときの僕の表情が記録されていたら、あまりにずっと頬が緩んでいて気持ち悪いんじゃないかなあ。


それにしても、この『電人ザボーガー』のこだわりには敬服します。
主人公・大門がザボーガーに指令を与えるときの「チェインジ、ザボーガー、○○!」っていうアクションの動きやタイミングまで、当時を再現しようとしているように見えました。
特撮も、たぶん、いまの技術では、「製作費3億円」の制約のなかでも、もう少し「リアルなもの」ができると思うのですが、あえて、「ちょっとチープに見える」ようにつくってあるのでしょう。
今回、昔の映像と見比べてみて、あまりに「忠実に」再現されていて驚きました。
普通、こういうのって、せっかくの映画だから豪華に見せようとして「なんか違う世界」になってしまいがちなんですよね。


この「電人ザボーガー」には、若いお母さんたちが喜ぶような「イケメンライダー」は登場しません。
「主人公がひたすら暑苦しい」「敵の作戦が非効率的で意味不明」「恒例の悪の組織の仲間割れ」「さわやかなイケメンなんて出ない」などの「1970年代の特撮のルール」にきちんと従ってつくられているのです。
正義の味方はヒーローらしく、敵はひたすら悪いことをし続ける。

そして、正義のヒーローにも、「正義とは何か?」という葛藤がある。


僕自身は、オリジナリティというか、原作を逸脱して(といっても、多くの原作へのオマージュは散りばめられているのですが)、ヒーローがヒーローらしくなくなってしまう「第2部」よりも、「昔の特撮ヒーローを再現した、暑苦しい第1部」のほうが好きでした。
昔の特撮ヒーローファンとしては、第2部の最初のほうなんか、「こんなのが観たいんじゃないんだよ……」と悲しくなるというか、特撮ヒーローという存在そのものへの冒涜のようにも感じましたし。
もっとも、『キカイダー』とか『バロム1』などでは、敵の「幼稚園バスをさらって世界を征服する」(なんて非効率的な作戦!)みたいなのにツッコミを入れて楽しむ、というのもアリなので、あんまり目くじらを立ててもしょうがないかもしれませんね。
宇宙刑事シャリバン』の「マイコン指名手配」という回があるのですが、そこでの悪の組織の作戦は、

各家庭にマイコン(パソコン)を配達する。
子供達は一括してネット送信される画面に表示されている宿題の回答をただ丸写しするだけになり、考える力を失っていく作戦

子ども心に(っていうほど『シャリバン』のときは小さくはなかったけれど)、「それってただの『親切』なのでは……」と思ったものです。


そういえば、『怪傑ズバット』という、「これ絶対、狙ってやってるだろ!」と言いたくなるような、濃厚演出満載の特撮ヒーローもいたよなあ。

登場時の決めゼリフは「ズバッと参上、ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー!快傑ズバット!」


いかん、『電人ザボーガー』の感想から、どんどん逸脱していってますね……
こういう話は止まらなくて困ります。


たぶん、この『電人ザボーガー』、あまり深く考えずに、「うわー、この雰囲気懐かしいなあ!」ってオッサンたちを楽しませ、元気づけることができればいい、という映画じゃないかと僕は思いました。
いやまあ、いろいろと「テーマめいたもの」はあるのだろうけれども、それを提示した先からぶっ壊していくというこの映画の「潔さ」にはもう脱帽です。


そして、役者さんたちも良い仕事をしています。
なかでもミスボーグ役の山崎真実さんの姿には、「よくこの役引き受けたなあ」と感動せずにはいられませんでした。
何年か前には「ヤングジャンプ」とか「ヤングマガジン」の表紙になっていた人だからなあ。
以前、『めちゃイケ』に、ナイナイの矢部さんのお兄さんの事務所の所属タレントとして出ていましたが、ものすごく真面目そうな人でした。
元新体操の選手で運動能力が高いというのも、この役に選ばれた理由なのかもしれませんが、ほんと、真面目にぎこちなく演じているのが、きゅんきゅんきてしまうのです。


どんな映画にもなぜか出ている竹中直人さんと、柄本明さんの悪っぷりも見所のひとつ。
個人的には、山崎真実さんと、古原靖久さんの「昔の特撮ヒーローが帰ってきたかのような暑苦しい正義の味方っぷり」が良かったです。
(「イケメン出てない!」ってさっき書きましたが、古原さんは戦隊ヒーローに出演されていたようです)


正直、「観る人を選ぶ映画」だとは思うんですよ。
でも、「好きな人にとっては、一生モノの映画」になるはず。
そうでない人にとっても、「映画館で観たことを、一生話のネタにはできる映画」です。


いやほんと、僕はこの映画大好きです。
音楽とか効果音へのこだわりも素晴らしい。
そういう細かいこだわりの積み重ねと原作への敬意が、この映画の大きな魅力なのです。


今度は『キカイダー』か「怪傑ズバット』を映画化してくれないかなあ……

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