琥珀色の戯言

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『俺の屍を越えてゆけ』PSP版本日発売!


俺の屍を越えてゆけ (通常版)

俺の屍を越えてゆけ (通常版)

参考リンク:俺の屍を越えてゆけ | プレイステーション® オフィシャルサイト


あの『俺の屍を越えてゆけ』が12年の時をこえてリメイク。

まずは、以前、プレイステーション版のときに書いた「感想」を載せておきます(たぶん10年前くらいに書いたはず)。

「花〜花〜どんな花〜」という、かなり印象的なテーマ曲とともに始まるこのゲーム、
ゲーム雑誌などでは絶賛されていたものの、グラフィックはPCエンジンに毛が生えた程度で、「ほんとに面白いのこれ?」という印象でした。

 作者が、「リンダキューブ」(滅亡する世界から、いろんな動物を助け出すというゲームなんですが、とにかく個性的なゲームだったんです)の桝田省治さんということで、期待と不安が入り混じりながら、ゲームスタート。

 最初は、「何これ?」という感じ。一昔前のPRGのような戦闘シーンと、なかなか成長しない自分のキャラ。しかし、このゲームの最大の特徴は、「配合」にあったのです。
 このゲームでは、主人公の一族は、「短命」(十数年しか生きられない、でも、そのかわりに成長が早い)と人間との間に子供が作れないという呪いをかけられています。

 でも、それをかわいそうに思った神々から、神と交合して子孫を残すことができるという能力を与えられているのです。この神々も、さまざまな能力に秀でた者がいて、ある者は体力にすぐれ、あるものは魔力、火とか水とかの属性もあります。この神々と主人公の英雄一族を掛け合わせて行くことによって、ゲームは進んでいくのです。
 当然、主人公一族は、次から次へと寿命を迎え、命を落としていきます。
 でも、その子孫たちは次第に能力の高い神々と「交合」していけるため、一族全体が少しずつレベルアップしていくのです。

 また、能力がとくに高かった者は、神として交合相手に加わることもあります。
 こうして、少しずつレベルアップをしながら、いろんなポイントの敵の中ボスを倒していき、最後の敵を目指すというシステムなのです。ちなみに、最初の方のキャラでちょっとでも奥のほうに行こうものなら、あっという間に即死。

  さて、このゲーム、何かに似てますよね。
 何かというと、もろに「ダービースタリオン」なんです。

 ダビスタフリークなら、一度は、これは人間でやったら、どうなるんだろう?とか、子供たちをみて「これは全兄弟だな」とか思ったことがあると思うのですが「俺屍」では、その禁断の想像を微妙な設定で、見事に実現してくれます。
 一族の者は馬、神は種牡馬(女性もいますが)、神になった一族は種牡馬入り。

 

 このゲームは、主人公が死ぬことが前提になってつくられていて、そういう意味でも、異質。まさに先祖の屍を越えて、一族は強化されていくのです。

 人間の血の流れ、みたいなものをちょっとだけ考えさせられるゲームです。

 エンディングも感動的です。
 見かけは地味ですが、ほんとにおすすめ。

 ダビスタ好きの方はとくに一度は遊んでみてもらいたいなあ。

 当時は、なんだかやたらと『ダービースタリオン』に絡めているみたいです。

 この『俺の屍を越えてゆけ』のプレステ版を遊んでいたとき、僕は田舎の病院に赴任していて、同世代の人が誰もおれず、仕事もハードで、なんだかすごく参っていたのです。
 そんななか、ずっと病気だった身内が亡くなったこともあり、精神的にも、肉体的にも最悪のコンディションでした。
 『俺の屍を越えてゆけ』は、けっして、明るいゲームではありません。
 これほど「主人公側のキャラクターがあっけなく死ぬ(そして、蘇らない)ことを前提としたゲームは、RPGでは皆無だったのではないでしょうか。
 登場人物たちは、それぞれがひとつの命であるのと同時に、一族の使命を果たすための「駒」でしかない面もあるのです。


 でも、そういう世界観に浸ることは、当時の僕が少しずつ回復していくためには、すごく有効だったのではないかと、いまになって思います。
 エンディングを見て、最後のひと言を聴いて、なんだかすごく「救われた」気分になりました。


 どうせ死ぬなら……のあとに続く言葉が、「何をしても意味がない」なのか、「生きられるだけ生きてみよう」になるのか。
 まあ、そんなしんみりとした話は抜きにして、本当に素晴らしいゲームなので、ぜひ多くの人に遊んでいただきたいと思います。
 なんか湿っぽい話になってしまいましたが、手軽に、楽しく遊べる名作ですよ。
 PSPという媒体でちょこちょこ遊ぶのにも向いています。
 僕も遊んでいるときは「強いのできたー!」とか、そういう感じでしたしね。
 

 当時は自分に子供ができるなんて想像もしていなかった僕が、今回どんな気持ちでこのゲームに触れることになるのか、自分でも楽しみです。

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