琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

リアル・スティール ☆☆☆☆



あらすじ: かつて優秀なボクサーだったチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は妻子と離れ、ただ自分の夢だけに没頭してきた。だが、西暦2020年の今では人間に代わり、格闘技ロボットたちがボクサーとして活躍していた。ある日、どうにかロボット格闘技のプロモーターとして生活していた彼の前に、母を亡くした息子(ダコタ・ゴヨ)が姿を現わし……。

参考リンク:映画『リアル・スティール』公式サイト


2012年2本目の映画館での鑑賞作品。
3連休中日の日曜日のレイトショーで、観客は20人くらいでした。


正直、この映画、はじめて予告編を観た時点で、「はいはい、どんな話かもうわかった。縁があったら、DVDでなら観るかもね」と思ったのです。
ところが、かなり評判が良いので、気になって観ることにしたのです。


映画館で観て、正解でした。
この映画の大きな魅力は、「重量感」が伝わってくる、ロボットたちのぶつかりあい。
それはやはり、家のテレビより、映画館のスクリーンのほうが迫力があります。


そして、この映画、男の子の「ダメ親父」である僕にとっては、まさに「琴線に触れる作品」だったのです。
このチャーリーって男がひどい。
元ボクサーだったのですが、いまはロボットボクシングのプロモーター。
人々がより過激なものを求めたために、ボクシングは人間からロボットがやるものになっていったというのがこの作品の設定なのですが、チャーリーは、新しいロボットを手に入れるために、息子のマックスの親権を金で売ろうとまでする男です。
ほんと、最低!
でも、その最低っぷりというか、人生や家族に対する投げやりさには、なんだかちょっと他人事とは思えないところもあって。


この息子のマックスが、けっこうステキな少年なんですよ。
いろんなものに対して醒めているようで、ロボットボクシングに対しては、異常なまでの興味を示します。
それが、彼の血によるものなのか、失われていた父親の姿を求めてのものなのかは、わからないのだけれども。
いや、観ていて、「マックス、その年でおまえ……世渡りうますぎないか?」って気分にもなるんですけどね。


そして、もう一方の主役、ロボット「ATOM」。
今の日本にとっては、ちょっと複雑な心境になる名前ではありますが、このロボットが「人間的でありながら、人間になりすぎていない」というバランス感がすばらしい。
クライマックスの試合では、もう本当にボッコボコにやられるのですが、まあそれはボクシング映画の「お約束」というか、『ロッキー』や『あしたのジョー』を思い出さずにはいられません。


この映画、よっぽどの日本びいきの人がかかわっていたらしく、ATOMの敵には白木洋子みたいな人がいるし、「ノイジー・ボーイ」というロボットのボディには、「超悪男子」なんて漢字で書いてあって、思わず吹き出しそうになりました。
たぶん、大部分のアメリカ人には、何が書いてあるのかわからなかっただろうと思われますが、日本人である僕にとってはたまりません。
そもそも、「ロボット・ボクシング」っていうのも『プラレス三四郎』のロボット版みたいなものですしね。


ひとりの父親として考えさせられたのは、親、とくに父親が息子にできる最良の教育は、「自分自身の生きざまを見せること」なのかな、ということでした。
チャーリー役のヒュー・ジャックマンは、「自分の役者人生のなかで、はじめて子どもたちと一緒に観たのがこの映画だった」そうなのですが、yahoo映画に掲載されていた独占インタビューで、こんな話をしていました。

Q:日本の子どもたちは塾があったりして、親と過ごす時間がすごく少なくなってきています。この映画からは、父と子の関係に大切なものが学べる気がしました。


日本の子どもたちもそうなの? 僕も仕事でオフがあると、子どもたちの忙しさにびっくりするよ。宿題をやって、部屋を片付けて、クラブ活動をしてって。でも、一緒に過ごす時間が少なくても、僕はいつでも子どもたちの言葉に耳を向けるようにしてるよ。とにかくそばにいること、何かを一緒にやることを大切にしてるんだ。映画の中でも、チャーリーがマックスに聞くシーンがある。「おれはおまえにできることはすべてやった。ほかにおれにどうしてほしいんだ!」って。そしたら、チャーリーが「僕のために戦ってよ!」って言う。これなのさ! 親だって人間なんだし、誰だってミスをする。大切なのは、いざというとき、自分の子どものために、立ち上がって戦ってやれるかどうかなんだ。



Q:映画の中では、ロボットのコントローラー片手にチャーリーがものすごくムキになって頑張るシーンがありました。あなたも、そういう経験ありますか?


僕の息子はあんまりゲームに関心がないんだけど、ある日、僕はWiiがやりたくて、息子に「Wiiやろうぜ!」って言ったら、「パパ、今日はすごくいい天気なんだ。外に行こう」って言われて、反省したときがあったね。

いやほんと「父親」にとっては、すごく勇気とヒントをもらえる映画だと思います。
ちなみに、ヒュー・ジャックマンにボクシングを指導したのは、あのシュガー・レイ・レナード

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