琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

刑務所なう。 ☆☆☆☆


刑務所なう。

刑務所なう。

内容紹介
2011年6月20日、モヒカン頭で収監されてから発信しつづけた、前代未聞の「リアルタイム刑務所日記」。獄中メシで何キロやせた? オリンパス事件どうなの? シャバを見つめた「時事ネタ時評」と、刑務所での読書記録150本も掲載。
《娑婆にいるスタッフや協力者に助けられ、私自身がずっと関わってきたインターネットによる情報発信が普及したおかげで、ボールペンで便箋に書いた原稿が、メールマガジンTwitterのつぶやきにトランスフォームされて世界に拡散することになった。その結果が本書である。――「塀の中から皆さんへ」より》


あの堀江元社長の「リアルタイム刑務所日記」。
「いま、刑務所に入っている人」から、刑務所での日常生活や「ムショの飯」の献立が配信されてくるなんて、すごい時代になったものです。
「臭いメシ」なんて言うけど、けっこうまとも(というか健康的)な食事が出てくるんだなあ、と感心してしまいました。
それにしても、刑務所に入っていても、ホリエモンホリエモン、圧倒的なバイタリティ。
よくこれだけの文章を、短い自由時間のあいだに書いているなあ、と感心してしまいます。
むしろ、「書くこと」によって、精神を活性化しているのかもしれませんけど。


この本、1000円で500ページ以上もあり、かなりのボリュームです。
もともとメールマガジンで配信されていたものをまとめたということで安価におさえているのかもしれませんが、「あんまり難しい本はイヤだけれど、なんとなく何か読みたい」というときには最適。
これがリアルタイムで配信されてくるのなら、メールマガジン購読してみてもいいかな、と思ったくらいです。


しかし、これを読むと、ある意味「刑務所に入っても、変わらない人は変わらないんだな」という気もしてきますね。
堀江さんの場合は、刑期が2年あまりと、短くはないけれど、塀の中で一生を終えるとか、いつ出られるかわからない、というレベルじゃない、というのも大きそうですし、ああ、ちょっと疲れているみたいだなあ、というのがうかがえる記述もあるのですけど、それでも、刑務所に入るというのは、「人生観が大きく変わる」ような体験ではなさそうです。

 ギリシャは債務50%カットで合意したそうだが、ユーロ圏の問題はまだまだ長引くだろう。ソウル市長選挙は元検事の朴元淳氏が勝利した模様。成長よりも反格差って検事らしいや。でも、世界中の問題である格差問題は、ネットの発達でグローバルな情報拡散が起こってむしろグローバルには格差縮小に向かい、先進国では格差拡大のように見えるだけのこと。それに少子高齢化問題で、社会福祉費がふくらみ、正社員(高齢)が仕事にしがみつき、若者が割を食っているというのが問題の本質なのに、メディアが世論誘導して「反格差高福祉」系の政党が政権を取り、若者は職を得られず、国の借金は増える悪循環。本当に必要なのは規制緩和自由貿易。水は低きに流れるんだからグローバル化に反対したって無理。TPPもさっさと加盟すべきだ。世界の貧乏な国の人は日本人みたいに豊かになりたいんだもの。それを止めることはできない。


こういうことを率直に言えるのは、堀江さんの凄いところだと思います。
その一方で、堀江さんを崇め奉る人たちは、堀江さんがつくろうとしている世界で、自分は幸せになれるかどうか、考えてみたほうが良さそうです。
「みんな豊かになりたい」たしかに、そうなのでしょう。
ただし、堀江さんのやりかただと「強くなければ、生き残れない」。
逆にいえば、「弱いやつは、辛い目にあってもしょうがない」。


この『刑務所なう。』のなかで、堀江さんは、自分のことをかなりあけっぴろげに話しています。
痔で困っていることや、AVの好みなども。
そして、「有名人・ホリエモン」になってしまった人間の立場からの、こんな独白も。

 案の定、島田紳助が芸能界をヤクザ問題で辞めて以来、週刊誌などでは大バッシングの嵐である。まあ、ヤクザと親しい付き合いをするのは決して褒められたものではないし、引退するのも本人の決断らしいので仕方のないこと。
 しかし、紳助さんがもともとヤクザと付き合い始めたのは右翼とのトラブルを解決するプロセスということらしい。私も天皇制否定発言で右翼に毎日街宣カーで叫ばれて大変な思いをしたことがある。所轄の警察は通報しても何もやってくれない。曰く、「道を走りながらスピーカーを使い大音量で話すのは選挙カーと同じで、それは言論の自由だから」とホザく。どう考えたって嫌がらせなのに摘発をしないのだ。こういう状態だから、紳助さんはヤクザに頼んだのだろう。私は高層ビルに住んでいたこともあり音もあまり聞こえずガマンできたので彼らは諦めたのだが、紳助さんはそうはいかなかったのかもしれない。
 このような事態を招いた一因にあるのは、市民を守るはずの警察の無策なのは間違いないだろう。実質的には違法なパチンコ業界に天下り利権を築いてヤクザまがいのことをしているのは、むしろ警察の方ではないか。
 世の中とは矛盾に満ちている。

 こういうのは「有名人として、街宣カーに脅かされたことがある」経験者ならではだよなあ、と感じます。
 警察がこういう対応だと、そりゃあ、やってはいけないことでも、ヤクザに頼んでしまうかもしれない。
 そして、一度頼んで、関係ができてしまうと、あとはもうズルズルと……


 あと、ロンドン五輪マラソンのカンボジア代表に決まった、猫ひろしさんについてのこんな話も。

 そういや、私のネット生放送番組に来てくれた猫ひろしが、そのときの私の思いつきネタにすぎなかった「カンボジア国籍取ってオリンピック挑戦」を本当に実現しそうなかんじだ。なんでも、国籍は取得できて11月16日に代表選考会に出るらしい。本当に猫ひろし再生計画になっちまったよ!

 あれは堀江さんのアイディアだったのか……
 

 堀江さんという人に、あるいは、刑務所の中での生活に興味がある人は、読んでみて損はしないと思います。
 なんのかんの言っても、これだけパワーがある人は、そうそういないですしね。

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