琥珀色の戯言

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本屋大賞は『舟を編む』

「2012年本屋大賞」は『舟を編む』三浦しをん著(光文社)(本屋大賞公式サイト)

おお、けっこう良心的じゃないですか「本屋大賞」。まだまだ捨てたもんじゃないかもしれん。
順位も『くちびるに歌を』の順位が僕よりも高かったくらいで、ほぼ作品のデキと比例しているような気がしますし。
しかし、『ビブリア堂』書店員さんは好きかと思ったけれど、古書店は商売敵だったからなのか、それとも、類型的な展開が嫌われたのか?
同じ「本の話系」でも、『舟を編む』が選ばれたのをみて、「同厩舎の二頭出しは人気薄を狙え」という競馬の格言を、ちょっと思い出してしまいました。
エピセアロームは影も形もありませんでしたが。


というかこれ、点数みたら、『舟を編む』圧勝じゃないですか。
そして、『プリズム』は酷いことになっている。
以前、『1Q84』がノミネートされたとき、大差の最下位で、「そんなら最初からノミネートするなよ……」と思った記憶がありますが、今回はまた別の意味で「ノミネートするなよ」ではありました。
そして、沼田まほかるブームのなかで、『ユリゴコロ』への評価が「それなり」であったことにも、書店員さんたちの良心を感じました。
なんのかんの言っても、みんな読んでいるじゃないですか、けっこうちゃんと。


でもなあ、僕としては、三浦しをんさんの作品って、『風が強く吹いている』が100点、『天国旅行』が90点としたら、この『舟を編む』って、70点なんですよね。
なんというか、「題材のディテールを愛するあまり、物語が弱くなってしまった」というか。
でも、これは書店員さんたちの「電子書籍時代へのささやかな抵抗の票」でもあるのかもしれないなあ。
とりあえず、良い小説ではあるので、個人的には満足ですし、むしろ、審査員のみなさんをナメていてごめんなさい、と謝ります。


風が強く吹いている (新潮文庫)

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天国旅行

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