琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

ヤマザキマリのリスボン日記 テルマエは一日にして成らず ☆☆☆☆

ヤマザキマリのリスボン日記 テルマエは一日にして成らず

ヤマザキマリのリスボン日記 テルマエは一日にして成らず

内容紹介
すべてはリスボンからはじまった!

イタリア人の姑との攻防、運送業者との果てなき闘い、そして日本の風呂への渇望……

大ヒット作「テルマエ・ロマエ」を生むに至る、リスボンでの日々を綴った ヤマザキマリの爆笑日記。


初めての原作つきではない単著『モーレツ! イタリア家族』はリスボンで生まれ、
『ルミとマヤとその周辺』もヨーロッパの片田舎ともいうべきリスボンでの生活が「昭和」を思い出させて、生まれた作品。
そして、あの大ヒット作『テルマエ・ロマエ』も、ローマ・オタクの夫と暮らさなかったら生まれなかった作品だった!!


この日記エッセイは、14歳歳下のイタリア人ベッピと結婚したことを機にポルトガルリスボンに住むことになった「売れない漫画家」ヤマザキマリが、
「自分が描きたいマンガはこれなのだ」という発見をするまでのおかしくも楽しい〈記録〉である。


テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんが、2004年8月から、2008年1月まで、mixiで書かれていた日記とブログを書籍化したものです。
 Amazonのブックレビューなどを見ていると、「姑への愚痴ばっかり!」なんて批判されており、まあ、それはたしかにその通りなんですけど、いま、この時代にそんな「リアルな愚痴」が書籍化されてしまったというのは、けっこう貴重な感じもします。
 夫の実家がイタリアだから、見られてもわからないはず!というのはあるんでしょうけどね。


 これを読んでいると、海外でのヤマザキさんの日常とともに、『テルマエ・ロマエ』という作品が立ち上がってくるまでの流れがわかって、すごく興味深いものでした。

 超歴史大河ドラマ「ROME」ステージ1。
 全部で12エピソードのうち、10まで制覇。
 このまま一気に見てしまいたいところだが、1エピソードを見るだけでこんなに興奮して眠れなくなるくらいだから、それはよしたほうが賢明だ。
 ドラマでも映画でも、すごいのを見ると考え込んで眠れなくなったりすることはあるけれど、今回は、DVDを買ったその日から連日不眠。
 こんな思いをしたの初めてだ。
 古代ローマについては超オタクの旦那に影響されて私もそこそこ詳しいと思っているのだけど、このドラマに関しては突っ込みどころがないっ!!
 確かに「ん?」というところもあるけど、この際そんなことはどうでもよい!!
 しかも役者はほとんど英国人だけど、その素晴らしい名演っぷり……。
 古代ローマ人なのにイギリス人?と思うのは間違い。そんじょそこらのイタリア人俳優の演技より、余程はまっていて違和感がない。

 今年のつかの間の日本滞在で、実行したくてもできなかったたくさんのことのなかでも最も心残りなもの、それがなにかというと、銭湯に行けなかったこと、です。
 ここ、リスボンの我が家には風呂桶がありません。
 真新しく改装したてホヤホヤのこの家を初めて見たとき、そしてバスルームに備えつけられているこれまた新品のシャワーボックスを見たときは、「ああ、風呂がないのか……。でもまあ、これで大丈夫かな」と楽観的にとらえたものですが、はっきり言ってそれは大きな間違いでございました。

 もともとイタリア、ヨーロッパの歴史に興味があったヤマザキさんが、『ROME』という海外ドラマにハマって、「お風呂に入りたい」という日常生活での寂しさとミックスされて……
 これを読むと、「作品」というのは「ひらめき」も大事ですが、やはり、それが生まれるための「下地」みたいなものがあるのだな、ということがわかります。
 『テルマエ・ロマエ』が、ヤマザキマリさんにしか描けなかったであろう作品であることも。
 それにしても、この本を読んでいると、歴史好きとしては、『ROME』観てみたくなりますね、いまさらながら。


 写真とかは、白黒の小さなものばかりで、これだったら、選りすぐりのものだけ、カラーで大きく収録したほうがよかったんじゃないか、とか、それでもやっぱり、身内への愚痴は、よくわかるだけに読んでいて辛いところもあるな、とか、言いたいところもそれなりにあるのですが、こういう「書籍化されることなんて意識しないで書かれた『普通の人』のmixi日記」っていうのは、すごく希有であり、面白いと思いました。

「他人の日記好き」には、けっこうおススメしたい本です。
逆に「完成された作品以外は興味ない」という人は、『テルマエ・ロマエ』のファンでも、読まないほうが良いかもしれません。

 それはそうと、先だってうちに来ていた漫画家の三宅乱丈さんから紹介していただいたコミックビームという漫画誌で、以前から描いてみたかった古代ローマ漫画(厳かな絵柄の比較文化ギャグ)を掲載してもらえることになりました(まだいつかは未定ですけど、とりあえず編集長からオッケーサインが出て作画は開始してよいということで)……。


(中略)


 しかもコミックビーム……激巧い作家たちの巣窟漫画誌……大丈夫だろうか……。
 頑張ります。
 想定しているのはHBOの「ROME」より、かなり時代が進んだ紀元120年ごろ、古代ローマ帝国が最も繁栄していて、リッチだった時期に生きた建築家のお話です……(フィクションですよ!)。
 でもこの劇画タッチ漫画によって、またさらに私の漫画ジャンルが混沌としてしまうことになりますが……もうどうでもいいや、そんなことは。

 ヤマザキさんにとっても「新しい挑戦」だったこの作品『テルマエ・ロマエ』が、大ヒットするのです。
 もちろん、これを書いている時点でのヤマザキさんは、そんな未来を知る由もありませんが。
 

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