琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

フェイスブックが危ない ☆☆☆☆


フェイスブックが危ない (文春新書)

フェイスブックが危ない (文春新書)

内容説明
「懐かしい人に再会できる」「人脈づくりに役立つ」「震災時の安否確認にも便利」……。「実名登録」を原則とする「フェイスブック」が大人気を博している。世界で9億人、日本での利用者も1000万人を突破したという。ただ、気をつけなければならないのは、安心感と裏腹にある負の側面。プライバシーの流出やサイバー犯罪をはじめとした被害が広がり、海外では、殺人事件にまで至った例もあるという。日本IBMの「シニア セキュリティー アナリスト」で、経済産業省、警察庁等の設置した機関の構成員も務めるセキュリティーの第一人者が、安心して使うための実践的なノウハウを伝授する。


僕の周囲でも、最近けっこうやっている人が増えてきたfacebook
「実名登録でのサービス」は、日本では流行らないのではないかと言われていましたが、「実名は実名」「匿名は匿名」ということで、使い分けられながら浸透してきているようです。
僕自身は、期待していたような昔の知人との再会もなく、義理の「イイネ!」や友達申請に疲れ、フェイスブック上ではここで書いているほど自由な発言もできず(半分はリスクを考えて、あと半分は気恥ずかしさから)、早々に持て余してしまっているのですけど。


まあ、僕自身のことはさておき、日本でもfacebookを使っている人が増えてきています。
ところが、フェイスブックが「リアルな友人との交流の場」であるという先入観のためか、「セキュリティ意識」が低い人が少なくないのも事実です。
「セキュリティ」と「自己アピール」のバランスというのは難しいところがあり、あまりにもセキュリティを考え始めると、「食べたものの写真」しか載せられなくなってしまいます。
いや、その「食べものの写真」でさえ、メニューの内容で、第三者に居住地を推定される可能性もあるわけで。


著者は、マクロミルが2012年と2011年に、それぞれ500人のFacebookユーザーに対して行った実態調査をもとに、こう述べています。

「実名」は、やはり安心感がある。しかしその一方、「自分のプライバシーは大丈夫なのか?」という不安が残る。勤務先や出身地、居住地などを公開していて、危険はないのだろうか? フェイスブックで、個人情報を公開することに不安を感じるかどうか調べたデータがある。それによると、「不安はない」が40.4%(前回調査48.4%)、「不安がある」は59.6%(同51.6%)となり、不安を感じる人が増えたことがわかる。
 私もフェイスブックを利用するにあたって一番気になったのが、実名を含む「個人情報の公開」だった。フェイスブックの情報は、「公開」が基本設定になっている。自分で設定を変えない限り、全世界約9億人に、自分の個人情報(プライバシー)がつつぬけなのだ。

率直に言うと、全世界9億人とはいうけれど、VIPでもなんでもない僕の場合は、日本語というだけで、「つつぬけ」になる人の数は激減するとは思うのですが、それでも、基本設定のままでは、「日本のfacebookユーザーには、つつぬけになっている」のですよね。
女性の場合にはとくに、ストーカーなどのリスクもつきものです。

 実際にフェイスブックなどのSNSでストーカーを含め、何らかの苦い経験をした人は、日本では、どのぐらいいるのだろう?
 サイバーエージェントが「Ameba」の女性利用者を対象に行った調査(2011年9月調べ)によると、「SNSでの苦い経験はありますか?」という質問に、「はい」と答えた人は約22%、「いいえ」は約78%。女性の5人に1人が何らかのトラブルを経験していることがわかった。
 苦い経験の内容は、友人関係のトラブル(646件)、恋愛トラブル(441件)の順に多かった。細かくみると、「ウソがつきにくくなった」(303件)が1位で、「自分が誘われていない旅行などを知り傷ついた」(197件)が2位。「見ず知らずの人から、ものすごいアプローチを受けて怖くなった」という声もあったとのこと。
 このアンケートでは、78%の女性が「苦い経験はしていない」と答えている。私の周りでも、ミクシィからフェイスブックに以降する際に「リスクは感じない」と答える女性が多かったのも事実だ。しかしこれは、「日本では実名のSNSが普及していなかったため、たまたまトラブルには巻き込まれなかった」とも考えられる。

SNSでのトラブルといえば、悪口合戦とか個人情報の漏洩、ストーカーなどを考えるのですが、何気なく旅行に行ったことをアップするだけで、そこに誘われなかった「友達」が傷ついてしまう、というようなこともあるようです。
「知らなくてよかったことも、知ることができるようになってしまった」というのは、SNSの大きな特徴であり、問題点なのかもしれません。
目に見えるかたちでの「トラブル」以外にも、こんなふうに、「可視化されることによって、かえって人間関係に亀裂が生じてしまう」ということもあるのです。
こういうのは、「傷つけている側」に、まったく自覚がないだけに、難しい問題ですよね……


さらに、著者は「自分のセキュリティだけが問題ではない」と、こんな事例を紹介しています。

 ある日、同僚から「守屋さんが5年間通っているラーメン屋”麺屋とらのこ”は、どこにあるの?」といきなり聞かれ、驚いた。なぜなら、私は、会社の人に、プライベートな話はしていないからだ。当然、5年間通っているラーメン屋の話は、一部の親しい友人しか知りえない情報であった。
 なぜ、ラーメン屋の事を知っているのか聞いたところ、「昨日、フェイスブックで読んだよ!」と言われ、再び驚いた。私の投稿は、同僚からは閲覧できないようにプライバシー設定をしているつもりだったからだ。
 すぐに投稿内容を確認したところ、私自身の投稿ではなく、友達のラーメンに関する投稿に対して、「5年間通っている”麺屋とらのこ”はめちゃくちゃ美味しい!」とコメントしていた。
 ここからが問題なのだが、友達のプライバシー設定は「公開」。つまり、友達の投稿にコメントした私の情報は、誰にでも閲覧できる状態だったのだ。よって、自身のプライバシー設定に注意するのはもちろん、友達のプライバシー設定も確認してからコメントする必要がある。

この「5年間通っているラーメン屋の情報」が広まることに、どんなデメリットがあるのか?と問われたら僕も考え込んでしまいますが、ある人の「行動範囲」を特定する情報ではありますよね。
でも、そこまで注意すると、何も言えなくなってしまうような気がするし……


この新書の第5章では、著者が、セキュリティの専門家として、「最低限行っておいたほうがいい、フェイスブックのセキュリティ設定」を紹介しています。
フェイスブックの設定って、わかりやすいようで案外わかりにくいものですし、フェイスブック関連の雑誌の記事などは、「他者とつながりやすくするためのノウハウ」を紹介する記事はあっても、セキュリティに関しては、それほど重視されていない場合が多いのです。
「なんかよくわからなかったので、とりあえず基本設定のままにしておけばいいか」という人は、けっして少なくないはず。


この新書では、「プロがオススメする最低限」が書かれていますので、非常に実用的だと思います。
実際に必要なことはそんなに多くないのだけれど、そういう「外部からのアクセスを制限するための設定」は、フェイスブックのなかで、積極的にナビゲートされているわけではないから。
僕もこれを読んで、自分の設定を見直しました。


「なんとなく、自分は大丈夫なんじゃないかな……有名人でもないし」と思い込みがちなのですが、実際に被害に遭った人たちも、そう考えていたはずです。
もしかしたら、僕も含めて、世の中の大部分の人にとっては、SNSって、「メリットに比べて、リスクがあまりにも高すぎるツール」なのかもしれません。
とりあえず、「よくわかんないけど、とりあえず初期設定のままでフェイスブックを使っている」いう人は、一度読んでおいたほうが良いと思いますよ。

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