琥珀色の戯言

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麒麟の翼 ☆☆☆


麒麟の翼~劇場版・新参者~ 通常版 [DVD]

麒麟の翼~劇場版・新参者~ 通常版 [DVD]

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
阿部寛主演のドラマ『新参者』の劇場版。東京・日本橋で男性の刺殺体が発見。被害者・青柳武明は腹部を刺されたまま8分間も歩き続け、翼のある麒麟像の下で力尽きた。刑事・加賀恭一郎は青柳の行動に疑問を抱き…。


 阿部寛さんの加賀刑事、最初は「いくらなんでも濃すぎだろ……」と思っていたのですが、慣れのためか、実はけっこうハマリ役なのか、最近は気にならなくなりました。
 とくにこの映画の場合、内容がけっこう「重苦しい」かつ「お涙頂戴」っぽいので、阿部さんの濃さが「薬味」として、うまく機能しているようにも思われます。


 ミステリなのでネタバレしちゃダメなのでしょうけど、こういう「人情ミステリ」を書かせても、さすがに上手い東野圭吾、という感じではありますね。
 正直、新垣さんはあんなふうにプレッシャーかけられて、これからの人生大変じゃないかとも思うし(加賀さんは「言いっぱなし」ですからね)、「世の中そんなに甘くない」とも言いたくなるんだけどなあ。
 それに、あの人は極悪人じゃないとしても、「あの状況なら、通報しろよ」とは思うよねやっぱり。


 ところで、この作品をみていて一番違和感とインパクトがあったのは、ラスト近くで、加賀刑事が、ある人物を強く責める場面でした。
 まるで、その人が主犯であったかのように。
 小説的、映画的に「ストーリー上、必要な場面」ではなかったと思うんですよ、あれって。
 でも、だからこそ、あえてああいう場面を入れたのは、東野さん、あるいはこの映画をつくった人たちからの「真実を隠すことは、どんな大義名分があっても、結果的に誰も幸せにはしない」という強いメッセージだと思うのです。
 
 ああそうだよなあ……でも、この人も、ある意味被害者なんじゃないか、という気もするし……


 「お涙頂戴的」であり、観客が推理できるほどの材料が作中で提供されている作品ではないのですが、テレビドラマ版が好きだった人には、「レンタルで見ると、ちょっとお得な感じがする」のではないかと思います。


 それにしても、中井貴一みたいなお父さんでもダメなら、僕なんかもう全然ダメというか、論外だよね……
 

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