琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

世界にひとつのプレイブック ☆☆☆☆



あらすじ: 妻が浮気したことで心のバランスを保てなくなり、仕事も家庭も全て失ってしまったパット(ブラッドリー・クーパー)は、近くに住んでいるティファニージェニファー・ローレンス)と出会う。その型破りな行動と発言に戸惑うパットだったが、彼女も事故によって夫を亡くしており、その傷を癒やせないでいた。人生の希望を取り戻すためダンスコンテストに出ることを決めたティファニーは、半ば強制的にパットをパートナーに指名する。

参考リンク:映画『世界にひとつのプレイブック』公式サイト


2013年4本目。
19時からの回を鑑賞。
ティファニー役のジェニファー・ローレンスさんがアカデミー賞で主演女優賞を獲得したので、「アカデミー賞特需」があるかと思いきや、僕を含めて観客は3人だけでした。
うーん、まあ、僕も実は『ゼロ・ダーク・サーティ』を観たかったのですが、時間が合わなかった+最近ちょっと体調を崩していて、あんまり長い映画は辛いかな、ということで、急遽こちらにしたんですよね。
このあらすじを読んでも、あんまり心惹かれないというか、「ああ、ハリウッド版の『Shall we ダンス?』か……」という感じだし。
(いや、周防正行監督の『Shall we ダンス?』は良い映画ですけどね本当に。僕は大好きです。というか、この『世界にひとつのプレイブック』の隙だらけな内容をみると、『Shall we ダンス?』って、なんて緻密な映画なんだろう!とあらためて感心してしまいました)
こういう「ラブコメ」みたいな映画って、僕は基本的に苦手というか「映画館で観る必要ある?」とか、つい考えてしまうのです。
ジェニファー・ローレンスさんにしても、『ハンガー・ゲーム』の人か……と思うと、そこまで期待できなかったし。


実際、観ながらも、ツッコミどころは満載だったのです。
「パット、薬ちゃんと飲めよ……」とか、「なんでジェニファーがパットのことをそんなに好きになったのかよくわからん。同じ向精神薬を飲んでたから?」とか、「なぜいきなりダンス?」とか。
展開はありきたりで、説明不足のため「なぜそうなるのか?」の理由は理解困難。
そもそも、「あらすじ」では「妻に浮気されたパットが病んだ」と書いてありますが、この映画を観たかぎりでは、どこまでがパットの妄想なのか、よくわかりません。
「妻の浮気」そのものが妄想だったのでは……とか、考えてしまいますし、それは否定できないと思う。
だとしたら、そりゃ妻も逃げ出しますよね……


前半のパットの行動は、まさに「ストーカー」だし、「コメディ要素」とは言うけれど、僕は全然笑えませんでした。
「ああ、困った人たちだな……」って。
これを「コメディ」として観ているのだとしたら、どれだけアメリカ人は躁うつ病の人に慣れているんだ?と。


でも、この映画、なんか不思議なんですよ。
前述したように、「なんかすっきりしない演出、脚本」なんです。
ジェニファー・ローレンスさんも「モデルみたいな美女」とは言い難い。
スタイルもモデル的ではなく、ちょっと弛みぎみ。
魅力的ではありますが、なんというか、ルックスでいえば「ヒロインの女友達」レベル。
しかしながら、観ていくうちに、ジェニファー・ローレンスさんの存在感に惹かれていくのです。
色気、なのか、うーん……なんかうまく言葉にできないんだけど。
序盤では「この人がヒロインなの?うーむ」って感じなのに、クライマックスでは「さすが22歳のオスカー女優!」と思えてきます。いや「美人すぎないからこそ、すばらしい」。


主人公パット役のブラッドリー・クーパーさんの演技は観ていてイライラするくらいの躁鬱っぷりですし、そのお父さん役が、あのロバート・デ・ニーロだとは、エンドロールを観るまで気付かなかった……
なんというか、「ありきたりの不幸な人たちの再生ドラマ」になるはずの脚本を、すばらしい役者たちが、「名作」にしてしまった、そんな作品なんですよ。
ただ、この映画をみていると、「ああ、みんな80点とか90点じゃないとダメって思いこんでしまいがちだけれど、『50点で大喜びする人生』っていうのアリだよなあ、90点じゃないからって、50点で幸せな人を否定する『向上心のある人生』って、なんかキツイよなあ」という気分になったんですよ。
別に「計算しつくされた脚本」じゃなくても、「なぜそうなったのかわからない展開」でも、それはそれで、「とりあえずこの人たちは幸せそうだから、まあいいかな」と苦笑しながら受け入れてしまう、そんな「魅力」がある映画なんですよ。
「大傑作」「感動作」じゃないけれど、観ると、ちょっとだけ「これでいいのだ」という気分になれます。


この映画、あんまり期待しすぎないで観ると、けっこう得した感じがしますよ、たぶん。

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