琥珀色の戯言

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モンスターズ・ユニバーシティ ☆☆☆☆


あらすじ: 人間の子どもたちを怖がらせ、その悲鳴をエネルギー源として用いるモンスターの世界。そこに暮らすモンスター青年マイクは、明朗活発でポジティブな思考の持ち主だったが、仲間よりも体が小さくてルックスもかわいいことに劣等感を抱いていた。これでは子どもたちを絶叫させる“恐がらせ屋”にはなれないと、世界中のモンスターが憧れを抱く名門大学「モンスターズ・ユニバーシティ」に入学。期待に胸を膨らませる彼だが、そこにはサリーを筆頭に大きくて姿が恐ろしい“恐がらせ屋”のエリート候補生があふれていた。


参考リンク:映画『モンスターズ・ユニバーシティ』公式サイト


2013年19本目。
三連休中日の日曜日の昼からの回を鑑賞。
シアター内は100人くらい入っており、かなりの盛況でした。
今回は4歳の息子と一緒だったので、2D版を観ました。
公開10日間で興行収入20億円を突破しているそうですので、3D版は、もっと賑わっているのではないかと。


今回、11年ぶりの『モンスターズ・インク』続編(時系列的には、『インク』の前の時代の話)なのですが、最近『インク』のほうを観たこともあり、あまり「11年ぶり」という感慨はありませんでした。
それにしても、ここまで続編が待ち望まれていたとは、けっこう意外。
モンスターズ・インク』はピクサー映画のなかでも傑作ではあったのですが、マイクとサリーというキャラクターが、ここまで受け入れられていたんだなあ、と。
4歳の僕の息子は、途中で飽きることなく110分完走し、最後のスタッフロールを観ながら手拍子していました。
そして、僕自身も「すごく良くできた映画だなあ」と感心しました。
「子ども向け」ではあるけれど、「子ども騙し」じゃないんだよね、これ。
努力とか友情の素晴らしさなど「ジャンプ的」なストーリーなのかと思いきや、そこにはちゃんと、人間のズルさや世の中の理不尽さも含まれていて。
これを観た子どもが大学に行きたくなる、という教育的なメリットもありそうです。
アメリカの大学のサークルの「エリート主義」みたいなものの感じ悪さについては、ちょっと予備知識が必要かもしれません。
(これって、ある意味「モンスター版『ソーシャル・ネットワーク』」みたいな映画だな、とか思いつつ僕は観ていました)


ただ、映像的には、前作のようなドアを使ったアクションの面白さとか、モンスターの造形の目新しさ、みたいなものは無くて(こちらが見慣れてしまったという面はあるとしても)、ピクサーとしては、「素晴らしいけど、凄くはない」という感じです。


前作と比べてしまうと、ストーリーのワクワク感とか、キャラクターの斬新さとかが足りず、「無難な映画」になっているような気がしますが、間違いなく「家族で観ても、友達や恋人同士で観ても、すべらない映画」です。
しかし、これを観ると、「エリートとして『怖がらせ学部』に入ったモンスターたちの将来」というか、「ある産業を信頼して進路を選ぶことの怖さ」も考えてしまいます。
だってさ、「怖がらせ学部」のエリートたちの目標であった『モンスターズ・インク』は、突然「笑いを集める会社」に業種転換してしまうのだから!
以前の日本で、「花形産業であった石炭業会に就職した、有名大学のトップエリートたち」のその後の人生も、こんな感じだったのかなあ。
「こんなはずじゃなかったのに!」って。


まあ、そんな感慨はさておき、田中裕二さんのマイク、石塚英彦さんのサリーもきっちりハマっています。
田中さんのマイクは前作も素晴らしく、この仕事をみると、アニメ映画は、かならずしも声優至上ではない、というジブリの主張も一理あるなと頷けます。
声優/非声優というより、そのキャラクターに合ったキャスティング、なんでしょうね。

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