琥珀色の戯言

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【読書感想】昨夜のカレー、明日のパン ☆☆☆


昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン


Kindle版もあります。
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内容(「BOOK」データベースより)
悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。


木皿泉(きざら いずみ)さんは、脚本家夫婦の共同ペンネームなのだそうです。
『すいか』、『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』、『Q10』などのテレビドラマを脚本家として手がけていますが、書き下ろしの小説は、この『昨夜のカレー、明日のパン』が初めて。


本屋大賞』にもノミネートされており、Amazonのレビューでも高評価なのですが……

「ほおう、笑いましたか」その日の夕方、焼売とビールをやりながらテツコは、その話をギフにした。ギフとは、義父のことである。
「間違いなく、笑いました」「笑えるようになりましたか」それはよかったと、ギフはビールを飲みほした。<ムムム>は、少し前まで飛行機の客室乗務員をしていたのだが、ある日突然、笑うことができなくなってしまい会社を辞めた。今は、両親の住む隣の家で暮らしている。


ああ、西加奈子系だ……
すみません、僕はこのカタカナの「ギフ」のところで、「これは苦手な小説だ……」と感じてしまい、結局最後まで、あんまりこの物語の世界に入りこめないまま、読み終えてしまいました。
こういう、「定型的な不思議な人たち」による「善い話」の連鎖の箱庭世界みたいな小説って、どうも苦手で……
「義父」じゃダメなのかよ、「義父」じゃ。


世の中には、たぶん、こういうのを「優しい物語」として愛することができる人も少なくないのだと思うのですよ。
『すいか』とか荻上直子監督の『かもめ食堂』とかを、こよなく愛する人たち。
でも、僕はなんかはもう、心が汚れきっているので、こういうのは読むのもかったるいなあ、とか、つい考えてしまうのです。
「自分が優しくて不思議な人間であることをアピールしたい人たちが好きな作品として挙げるには、ちょうど良い小説なのではないか」とかね。


七年前に、二十五才という若さで亡くなってしまった男性をめぐる人たちの心が、ゆるやかに恢復していく様子を描いた小説なのですが、たぶん、テレビドラマや映画で、うまい役者さんがやれば、「いい演技」をしやすい作品になるのではないかと思うのです。
でも、小説としては「最近ありがちな、短篇連作の御涙頂戴系」だとしか、僕には感じられませんでした。
それが悪いというわけではなくて、そういうのを求めている人は確実にいるというのはわかるのですけどね。


「ギフ」で身体中が痒くならない、『すいか』とかの世界感が好きな人には、良い作品なのかもしれません。
でも、僕はこういうの、もう飽きてしまっているのです。

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