琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン! ☆☆☆☆



あらすじ
平凡な小学5年生の少年、ケータは不思議な腕時計・妖怪ウォッチを手に入れたことから、周りで騒動を起こす妖怪が目に見えるように。そんなある日、睡眠中のケータの腕から妖怪ウォッチが消えてしまう。その後、妖怪フユニャンと運命的な出会いを果たしたケータは、妖怪ウォッチを奪取するため、時を超えて60年前に向かう。しかし、そこには予想だにしない力を持つ敵が……。


参考リンク:「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」公式サイト


 2015年3作目。
 日曜日のちょうどお昼の回で観賞。
 もう公開開始から1ヵ月くらいになるのに、お昼時の館内には、100人くらいが入っていて、ちょっと驚きました。
 やはりすごい人気なのだなあ。
 冒頭に、ジバニャン、ウィスパー、コマさんの3人(?)が「映画化された喜び」みたいなのを語るシーンがあるのですが、それぞれのキャラクターが出ていて、これは上手いなあ、と。
 『妖怪ウォッチ』の魅力って、「真面目じゃないんだけど、ふざけすぎてもいないし、残酷でもない」という、絶妙のバランス感覚にあるんですよね。
 そして、出てくる妖怪たちは「怖い」というより、「こういう人、いるいる!」って言いたくなるような、「困った人」を戯画化したものが多い。
 僕も最近、「ああ、ナガバナが来た……つかまったら、話長いんだよな……」とか、「隣にネタバレリーナが座っているとは……」と、心のなかで愚痴を言うことが多くなりました。
 現代人にとっては、『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくるような「異形の存在」よりも、「身近にいる、ちょっと困った人」のほうが、よっぽど「妖怪的」なのかもしれません。


 映画本編、一緒に観ていた長男が思わず身を乗り出して観ているシーンがいくつかあったのですが(二度目なのに!)、僕もけっこう楽しめました。
 そして、この『妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』は、日本の『ベイマックス』みたいなものではないか、と。
 『ベイマックス』の脚本は、観客の最大公約数を感動させられるような計算され尽くしたような「上手すぎて、ちょっとズルい」という感じのものなのですが、この『映画 妖怪ウォッチ』も、「友達を大事に」「一歩を踏み出す勇気」というようなメッセージ性と、ケータと妖怪たちの掛け合いの面白さ、そして、妖怪オールスターズによるバトルシーンなど、実に「隙の少ない脚本」なんですよ。
 僕はテレビの『妖怪ウォッチ』も長男と一緒に観ていて、『レンコン教授』の回とかは、息子以上にウケてしまい、「パパ、これそんなに面白いの?」と怪訝な顔をされてしまいました。
「親が観ても、案外面白い」っていうのは、子供向けの映画にとっては、けっこう大事なことなのかもしれませんよね。
 一緒に観る親だって、できれば、子供だけでなく、自分も楽しめる映画のほうが望ましい。
 この『妖怪ウォッチ』を楽しめる大人というのは、子供の頃は、マンガとかアニメとかオカルトなどのインドア系の趣味を持っていて、ちょっと「周囲になじめない感じ」だったのではないかと僕には思われます。
 自分の子供世代になって、こういう作品が、こんなに大ブームを巻き起こしていることに、戸惑いと秘かな喜びを感じている大人は、けっこう多いのではなかろうか。
 この世界観が「温故知新」なのか、「そういう親をターゲットにしている」のかはわからないけれども。


 大ブームにあやかって、付け焼き刃で急いでつくられた映画なのではないかと予想していたのですが、なんというか、制作者たちは、この『妖怪ウォッチ』というコンテンツを大事にしているのだな、ということが伝わってきました。
 そして、「せっかくの映画化なんだから、できる限りサービスしてしまおう!」という意気込みも。
 なんというか、作品そのものの勢いが、すごく伝わってくる映画版だったな、と。

 人が死ぬ描写をせずに、「一歩を踏み出す勇気ときっかけ」を与えてくれるという点では、『ベイマックス』よりも、小さな子どもに見せやすいな、とも思いました。

 
 いやまあ、なんであれでタイムスリップとかできるんだ?とかいうのはあるんだけれど、この作品の場合は「妖怪のせい」で済んじゃうからねえ。



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