- 作者: 多田文明
- 出版社/メーカー: 産経新聞出版
- 発売日: 2015/04/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容紹介
振り込め詐欺の被害総額、史上最悪の559億円!
自分だけは、だまされない。そう思っていませんか?
フジテレビの特番「ついていったらこうなった」でおなじみの著者が、
詐欺犯がつけこむ「7つの心のすき間ポイント」を徹底解説。
最新のだましの手口を網羅した、すぐに役立つ「詐欺百科」。
詐欺・悪徳商法への対処法を示した一口メモつき!
詐欺・悪徳商法への体当たり取材で知られる著者による、「100の手口集」。
いやほんと、いろんなことを考える人が、世の中にいるものだなあ、と考えさせられます。
詐欺や悪徳商法で一番危険なのは、「自分は騙されないから、大丈夫」という気持ちである。私はこれまで数多くの悪徳商法などの現場に潜入し、つぶさにその誘い文句を見聞きしてきて、痛感している。私たちの心は日々のちょっとした出来事で、泣き笑いといった気持ちの上り下りを繰り返す。今日は元気でも、明日にはトラブルに見舞われて、落ち込んでいないとも限らない。詐欺や悪徳業者は、私たちの心の隙を見つけて、すっと入りこんでくる。
そもそも彼らを、見た目では判断することはできない。ほとんどの場合、相手はこちらの話を優しく聞き、困りごとがあれば助けてくれる姿勢を見せて、信頼関係を築こうとしてくるからだ。そして、こちらの警戒心がなくなるや、一気に騙しの罠を伸ばす。もちろん、騙されやすい人、騙されにくい人の傾向あはあるものの、100パーセント騙されない人など、この世にはいない。それゆえ、騙された人が決まって口にするのは「まさか自分が被害に遭うとは」という言葉なのである。
身体的にも経済的にも問題を抱えていないときには、大部分の人は「正常な判断力」が働きます。
「そんな美味い話があるわけがない」「息子が心配だけれど、まずはこちらかで電話をして確かめてみよう」んど。
でも、他の心配事が頭を占めていたり、年齢とともに判断力が低下していたりすれば、誰だって騙されないとは限らない。
そもそも、「すぐに詐欺師だとわかる」ような相手ばかりであれば、世の中に、こんなにたくさん騙される人がいるわけがない。
「自分だけは大丈夫」という先入観を捨てることが、まずは大事なのです。
「悪徳商法」というのも、時代に沿って変わってきているところがあります。
「オレオレ詐欺」だけではないのです。
消費者センターに寄せられた2012年(平成24)年度の「送りつけ商法」における相談件数は、前年度の4倍もの数字になっている。
最近は健康ブームということもあり、健康食品を送りつけてくるケースも目立つ。
送りつけ商法の中でも特に気をつけたいのが、宅配業者が商品の配達をするとき、荷物と引き換えに代金を回収する代金引換による手口である。
2013年、消費者が注文していないにもかかわらず、2万円ほどの健康食品を送りつけ、代金引換で商品代金を受け取っていたとして、特定商品取引法違反容疑により男ら4人が逮捕されている。今、この手の代引き詐欺が横行している。
現代はインターネットを通じて通信販売でモノを買うのが当たり前になっている。それゆえ、商品が家に届くと自分は注文していないが、もしかすると家族の誰かが頼んだのかもしれないと思い、代金を払ってしまいがちだ。しかし代金引換の場合、一度お金を支払ってしまうと、相手が架空の業者の場合もあり、返金が難しくなることが多い。注文していない商品のお金は絶対に払わないようにしてほしい。
こういうのなんて、僕も注意しなくてはな、と。
まあ、基本的にはカード決済で、代引きで支払うことはほとんど無いのですが、目の前に宅配業者がいて、「数万円くらいの代引き」の請求をされたら、家族の誰かが買ったのかな、と、払ってしまう可能性はありそうです。
そもそも、それぞれ、通販でどんな買い物をしているか、どんな商品が届く可能性があるか、なんてことを「共有」している家族ばかりではないでしょうし(というか、そうじゃない場合のほうが、多いのではなかろうか)。
また、こんな手口もあるのです。街頭募金詐欺について。
今回の詐欺犯らは自分たちの活動をまっとうなものに見せかけるために、通行人に警察からの道路の使用許可証を提示していたが、この許可証を得るには特段厳しい審査があるわけではなく、申請すればたいがいはとれるものである。
この使用許可証を葵の御紋のように提示して、自分たちの活動が警察からお墨つきを得たように錯覚させる手口は、街頭の悪質キャッチセールスなどでもよく使われており、騙されないようにしたい。
「ちゃんとした募金である証拠をみせろ!」っていう人は、案外、その「証拠らしきもの」を見せられると、あっさりと信じてしまうことがある。
実際は「その募金活動が真っ当なものであるかどうか」には、まったく関係のない「許可証」なのに。
こういうのって、知らないと、ついつい信じてしまいますよね。
そして、こういう手口を読んでいて痛感するのは、「世の中には、弱みを見せると『かわいそうだねえ』と同情してくれる人もいるけれど、少なからず、そういう隙がある人を、さらに狙ってくる連中がいる」ということなんですよね。
やられた側は「一度やられたし、もう引っかからないだろう」と思ってしまうのだけれど、むしろ、「一度やられたから、また引っかかってしまうリスクが上がっている」と考えたほうが良いのです。
詐欺業界では、仲間内で、「騙されやすい人の家」をマーキングして、情報を共有しているそうです。
ひどい話ではあるのですが、それもまた現実です。
あと、路上で「お金を貸してほしい」と言われた場合。
警察には公衆接遇弁償費があり、外出先で財布を盗まれたなど、急な事態に陥った場合、千円以内なら現場の警察官の裁量でお金を貸してもらえる。
リッツ・カールトンのスタッフのほうが、まだ自由に自分の裁量でお金を使えそうなのですが、千円あれば、「最低限の連絡」はとれるだろう、ということなのでしょう。
これを読んでいると、ふだん意識していないだけで、世の中には、数々のセーフティネットが存在している、ということがわかります。
ただ、この本に関しては「100の手口」をよく集めたなあ、と感じながらも、こういう手口って、基本になるパターンはそんなに多様なものではないので、半分くらいのところで、けっこう読み疲れてしまいました。
紙の書籍というのは、200ページくらい必要、ということになっているのかもしれませんが、こういうのって、電子書籍で半分のページ数でも十分ではなかろうか。
とりあえず、今の世の中を渡っていくうえで、「一度は目を通しておいたほうが良い知識」が詰まっている一冊だと思います。
「どんな状況でも、絶対に騙されない人」なんて、どこにもいないのだから。