- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/09/03
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
カネ儲け、ビジネス、人間関係、思考etc.奪るか、奪られるか!岐路に立つあなたを成功に導くメソッドが満載。“最響”の箴言付。
ウシジマくんvs.ホリエモンって、「濃い」なあ……と思いながら読みはじめました。
そもそも、この組み合わせで、「人生はカネじゃない!」と言われても、ねえ……
ところが、読み始めてみると、けっこう「ど真ん中」の処世術の本なんですよねこれ。
日頃、本はほとんど読まないとか、マンガだけしか縁がない、という人にこそ、読んでみていただきたい。
このコラボレーションも、「情報弱者」と呼ばれる人たちに届くように、という目的があるんじゃないかな。
世の中には、「逃げ道がちゃんとある地獄」って、けっこうあるんですよ。
というか、いまの日本では、逃げ道を知ってさえいれば、よほどのことがないかぎり、なんとかなるものなのに、それを知らない、あるいは、妙な「真面目さ」を発揮してしまうがために、人生を台無しにしてしまう人が少なからずいるのです。
新宿など都心の繁華街の風俗店には、ホストに沈められた女性がけっこういる。
郊外に行くと、少し事情が変わる。
一例として、出勤中、車でガードレールにぶつかり、その修理代を行政側から100万円ぐらい請求されて、支払うためにソープで働いているOLの話を聞いた。
また東日本大震災の被災地では、地震で実家の屋根瓦がすべて落ち、怪しい瓦業者のローンに騙されて、300万円近い借金を抱えてしまった女性もいる。彼女は借金のため、デリヘルで働いているという。
その女性は毎晩、デリヘルの事務所に出勤。デリヘルの仕事を終わらせ、コンビニで買った揚げ物や菓子パンを、車のなかで食べるのがストレス解消になっているそうだ。挙げ句、ブクブクに太ってしまったという。
何というか……ため息が止まらない。ホストの掛け金も、ガードレールの費用も、瓦の代金も、どうして払わなくちゃいけないのだろうか?
何歩か譲って返済義務があったとしても、100万円単位のカネになるはずがない。明らかにごまかされている。
やりたくもない性的な奉仕をしてまで、背負うことはないだろう。
(中略)
風俗嬢の例が特殊なわけではない。世の中には、わけのわからない借金を押しつけられ、その返済に窮して人生を台無しにしている人が、たくさんいるのだ。
借りたカネはもちろん、返さなくてはいけない。ビジネスでの負債は、損失を与えた相手にきっちり返すべきだ。
しかし、個人レベルで理屈の通らない額の借金を押しつけられたとき、返さないといけない道理はない。その借金額が返済能力をとうに超しているなら、自己破産など債務整理の手続きを取れば済む。
要は、踏み倒せばいいのだ。
誤解されるといけないのだが、カネの借り逃げを推奨しているわけではない。
返したいけれど、どうしても返せないのだとしたら、法律的な救済策はちゃんとある。その意味で日本のセーフティネットは優れているのだから、手続きを踏んで、利用すればいいだけのことだ。
闇金に駆けこんだり、違法なカネ儲けに手を出したり、身体を売ったり、はては命を投げ捨てたりする必要はないだろう。
私から言わせれば、物事を知らなすぎる。もしくは、真面目すぎる。
借金は何が何でも絶対に返さないといけない、返すのが人の道だという、間違った観念にとらわれているのだ。
どうしても返せない借金には、救済策がちゃんとあるのです。
冒頭に出てきたガードレールなんて、わざとぶつかったのでなければ、弁償することそのものが疑問なんですよね。
ところが、どんなにおかしな借金でも、真面目に返そうとする人が多いのです。
いや、そもそも、その勤勉さがあるのなら、世の中にはセーフティネットがあるのだから、まずはそこに頼って、状況が安定したら、なんらかの形で社会に還元すればいいだけなのに。
僕は堀江さんのようには生きられないし、多くの人はそうだろうと思います。
しかしながら、堀江さんの話を読んでいると、世の中には「奪う側にとって都合が良いだけの『真面目さ』にとらわれている人」がたくさんいるのだな、と感じます。
私の知る限り、怪しい儲け話に乗らない優秀な経営者は、一見すると物腰の柔らかい、お人好しなタイプが多い。『闇金ウシジマくん』でも騙されてひどい目に遭うのは、だいたいお人好しとは言いがたい感じのキャラクターばかりだ。
むろんお人好しであれば詐欺には引っかからない、というわけではない。騙してくる側は、狡猾だ。あらゆる手を使って攻めてくる。だから、騙されるときは騙される。
とはいえ、騙されないために必要な心構えを、私なりに一応説いておこう。
まず、警戒心を持ち、嗅覚を研ぎ澄ますこと。この人は危ない、仲良くしたらヤバいというのは、立ち居振る舞いから何となくわかる。
どんなに見た目が良くて、たしかな情報を持って来たとしても、立ち居振る舞いに漂う「匂い」が変なヤツには、決して近寄らないようにしよう。
ウシジマの言葉が、的確に言い表している。
「信用できる奴は自分から信じろなんて言わねえよ」
これはもう、本当にその通りだよなあ、と。
気をつけているつもりでも、「騙されるときには騙される」ということも含めて。
堀江さんは、「フリーエージェント」について、『闇金ウシジマくん』の作者の真鍋昌平さんのコメントも添えて、こんなふうに述べています。
レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でも描かれたように、クズ株など実体のない商材を売りつけて、巨万の財産を築く詐欺師まがいのセールスマンは、各国に続出している。
ワールドクラスのフリーエージェントだ。彼らは堂々と、合法的なビジネスを行い、なかには一般企業と変わらない、まともな形態で事業を進めている例もある。
(中略)
真鍋さんは、取材で会ったフリーエージェントたちを、こう評していた。
「あの人たちは実際に会うと、見た目はシュッとしていて、しゃべりがとても上手。だけど何を質問しても、気づいたら向こうの話にすり替わって、質問したことが何だったのか、わからなくなってくる。彼らはコミュニケーションを取るよりも、自分をどう成功しているようにプロデュースするかが重要。だから話している内容に意味はない。行動もストーリーじみているというか、すべてがお話じみている」
フリーエージェントの空虚な正体を、見事に見抜いた論評だ。
ちなみに『闇金ウシジマくん』の「フリーエージェントくん」編は、単行本では30巻から32巻にあたります。
ネットビジネスで一攫千金!なんていうのが頭の片隅をよぎったことがある人は、ぜひ、この3冊だけでも読んでみていただきたい。
世の中には、こんなに面白くてわかりやすい「情報」があるのに、それでも、騙される人は騙されてしまう。
ホリエモンのような、ネットビジネスであぶく銭を稼いだ、カネの亡者の言うことなんて、信用できるものか、という人にこそ、ぜひ、この本を読んでみていただきたいのです。
その「真面目さ」は、誰かの受け売りや単なる「思考停止」かもしれないから。
- 作者: 真鍋昌平
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